琵琶湖の撮影スポット、観光客のマナー違反に神社困惑「鳥居への危険横断やめて」打ち出された苦肉の策は

琵琶湖中の大鳥居と朝日を見るために国道161号を渡る人たち(2022年11月、滋賀県高島市・白鬚神社前)

 琵琶湖の中に建つ大鳥居で知られる白鬚神社(滋賀県高島市)前の国道161号を歩行者が横断する問題で、国土交通省滋賀国道事務所はこのほど、大鳥居前に防護柵を設置したほか、注意を促す表示を備え付けた。神社側は「景観を保ちながら安全対策を図っていただき、ありがたい」と感謝している。

 高橋敬一宮司(62)によると、日本遺産に「琵琶湖とその水辺景観」が認定された2015年ごろから、同神社では大鳥居と琵琶湖を撮影するために国道を横断する人が増えたという。

 神社は独自に「危険」の看板や大鳥居前のガードレールの開口部分に木製柵を設置したほか、土日祝日には神職が声掛けに力を入れるなど対策を打ってきた。高橋宮司は「神社としてできる限りの手は尽くした」として22年4月、窮状を伝え、安全対策を求める要望書を関係機関に提出した。

 これを受け、同年5月、県と同国道事務所、県警、高島市が「国道161号白鬚神社前安全対策会議」を発足。検討を重ね、横断防止に重点を置くことになった。今月上旬に防護柵などの設置を完了した。

 防護柵は、自動車や自転車の転落防止に設置するものを横断防止と大鳥居前への侵入防止に応用。開口部分に高さ110センチ、長さ約10メートルの金属製の柵を設置した。南北の柵を10センチ高くし、中央に琵琶湖側へ開く門扉を備えて「神様の通り道」(高橋宮司)に配慮。朱色と黒に塗装して玉垣のように仕上げた。

 さらに、「横断やめて‼」と記した小型標識を国道両側の5カ所に、「横断危険 注意!」とペイントした路面表示を神社出入り口の6カ所に配置した。このほか、国道事務所は老朽化したガードレールの改善を進め、神社側に玉垣風のパイプ型ガードレールに付け替えた。

 国道事務所は「車の安全のためにも横断者がなくなることを願う」とする。高橋宮司は「国道の横断はドライバーにも危険で、神社にとっては迷惑行為。危険な横断はやめてほしい」と訴え、引き続き境内にある展望台の利用を呼びかけている。

© 株式会社京都新聞社