「もう起きてほしくない」 鹿沼クレーン車事故13年、北押原小で集い 交通安全の誓い継承

交通安全の決意を読み上げる児童ら=15日午前、鹿沼市樅山町

 栃木県鹿沼市樅山町の国道293号で2011年4月、登校中の児童6人が暴走したクレーン車にはねられ死亡した事故から18日で13年となるのを前に、6児童が通っていた同市北押原小で15日、「交通安全のつどい」が開かれた。全校児童416人と教諭らが冥福を祈り、登下校の安全や命の大切さを再確認した。事故の風化を防ぎ、交通安全の誓いを受け継いでいく決意を新たにした。

 15日午前、静まる体育館。児童たちはうつむき、クレーン車事故で亡くなった6人の先輩たちに黙とうをささげた。

 集いは事故の翌年から毎年開催。当初は地域住民らも参加し祭壇に献花するなどしていた。15年からは交通安全を考える全校集会として開いている。在校生は11年の事故後に生まれた世代。集いがクレーン車事故を知り、語り継ぐ機会になっている。

 この日に向け、2~6年生の全員が交通安全の決意を作文につづり、各学年の代表者が発表した。

 5年代表の黒川明日香(くろかわあすか)さん(10)は「急に曲がり角で車が出てくることがあるので、ちゃんと止まって右左を確認して渡りたい」。登校班で班長を務める6年代表の岩崎惺子(いわさきさとこ)さん(11)は「(事故は)もう起きてほしくない。誰も事故に遭わないように登下校したい」と語った。

 事故があった11年、亡くなった大森卓馬(おおもりたくま)さん=当時(11)=と熊野愛斗(くまのまなと)さん=同=の同級生の6年生たちが、「交通安全のバトン」と呼ぶ“誓いの言葉”を作った。それ以来、代々の6年生が改訂しながら、全校児童で受け継いでいる。

 「1列で並んで必ず班でまとまり歩きます」「左右を確認して横断歩道を歩きます」。全校児童が5項目の「交通安全のバトン」を読み上げた。

 堀江賢(ほりえさとし)校長は「当時のことを知っている人が少なくなる中、この地区としては忘れてはいけない出来事。将来にわたって事故を起こさないという思いで、命を大切に生きていってほしい」と願った。

亡くなった6人の冥福を祈り黙とうする児童ら=15日午前、鹿沼市樅山町
担当教諭と交通安全のルールを確認する児童ら=15日午前、鹿沼市樅山町

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