薄紅色の「貴婦人」花開く ツクシシャクナゲ 轟峡、多良山系で山開き、安全祈願 5月6日まで祭り

開花状況を確認する原口会長=諫早市、大渡

 長崎県諫早市の花で「多良岳の貴婦人」と呼ばれるツクシシャクナゲが、同市高来町の轟峡上流部にある大渡地区やしゃくなげ高原で咲き始めた。13日は「第10回多良岳ツクシシャクナゲ祭り」オープニングセレモニーと、轟峡や多良山系の安全を祈願する山開きが、楊柳(ようりゅう)の滝前であった。
 4月から5月にかけて薄紅色の花を咲かせるツクシシャクナゲは、ツツジ科の常緑低木。多良山系には約1万本が自生し、「多良岳ツクシシャクナゲ群叢」として国の天然記念物に指定されている。
 高来町山林協議会(原口栄一会長)は、市などと連携し、2012年から23年までに、大渡やしゃくなげ高原などに計3750本を植樹。同協会によると、標高約450メートルの大渡では、気温の高い日が続いたため例年より約5日早く開花し現在5分咲き。高原では咲き始めで、今月末ごろまで楽しめそうだという。祭りは5月6日まで。
 轟峡の中で最も落差がある高さ50メートルの楊柳の滝前であった神事では、同協議会や市、県などの関係者約60人が、金泉寺(高来町)の有森隆英住職の読経に合わせて焼香。山の安全を祈願した。
 市と同協議会は、2020年に発生したのり面崩壊事故の影響で通行止めにしていた楊柳の滝から第2駐車場まで約1キロの遊歩道を、安全が確認できたとして開放する。原口会長は「春はシャクナゲ、夏はオオキツネノカミソリ、秋は紅葉と、季節を通して楽しんでもらえれば」と来場を呼びかけた。国道207号から轟峡に至る県道多良岳公園線は工事のため、土日のみ通行できる。

楊柳の滝前であった山開きとオープニングセレモニー=諫早市、轟峡

© 株式会社長崎新聞社