諫干堤防閉め切り27年 開門で有明海再生を 慰霊祭・長崎県内外から漁業者ら

閉め切り27年に合わせて営まれた慰霊祭=諫早市

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りから27年となった14日、堤防近くの諫早市白浜町で、閉め切りで死滅した海の生物や開門実現を見届けぬまま亡くなった漁業者らを悼む慰霊祭が営まれた。国に開門を命じた確定判決(2010年)の原告漁業者ら長崎県内外から10人が参列し、開門による有明海再生を訴えた。
 慰霊祭は1998年から福岡県の環境団体が開き、近年はメンバーだった沖牟田龍雄さん(78)=同県大牟田市=が代表の遺志を継いで個人で続けている。船着き場跡に焼香台や、開門を求めた裁判などを振り返るパネルを並べ、閉め切り時刻の午前11時半に合わせて鐘を打ち鳴らし、手を合わせた。
 確定判決を巡っては、国が執行力排除を求めた請求異議訴訟で最高裁は昨年3月、訴えを是認した。一方、諫早湾内の漁業者らが起こした別の訴訟で福岡高裁は同月、開門請求を棄却した一方、閉め切りが「諫早湾の漁場環境の悪化を招いた高度の蓋然(がいぜん)性があると認めるのが相当」と指摘。漁獲減少との因果関係を認め、将来の影響にまで踏み込んだ。
 確定判決原告の1人だった平方宣清さん(71)=佐賀県太良町=は「今朝もカニ漁に行ってきたが、12、13匹しか捕れなかった。確定判決にも従わない国は信用できない。開門による有明海再生を求め続けたい」と語気を強めた。

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