中独首脳会談、習氏「戦略的観点で関係発展を」 相互依存を強調

Andreas Rinke

[北京 16日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は16日、北京でショルツ独首相と会談し、中独が互いを尊重して違いを留保しながら「共通の基盤」を模索すれば、両国の関係は着実に発展し続けると表明した。

中国とドイツの協力は「リスク」ではなく、安定した関係の保証で、将来へのチャンスと指摘。中国とドイツの産業とサプライチェーン(供給網)は深く結びついており、両国の市場は互いにかなり依存していると語った。

「われわれは長期的かつ戦略的な観点から2国間関係を総合的に捉え、発展させなければならない」と述べた。

ショルツ氏は上海や重慶などの主要都市を訪問し、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス会長やBMWのオリバー・ツィプセ最高経営責任者(CEO)ら独企業トップが同行した。

習氏は「(中独が)相互に尊重し、相違点を残しつつも共通点を探り、意思疎通を図り、互いから学び、双方に利益のある協力関係を築く限り、両国関係は着実に発展し続けるだろう」と述べた。

ショルツ氏の訪中は、中国サプライヤーへの過度な依存を避ける「デリスキング(リスク低減)」戦略を昨年打ち出してから初めて。また、欧州連合(EU)が電気自動車を含む過剰な中国製品への懸念を示す中で実現した。

ただ、ショルツ氏はこれまで、ドイツにとって重要市場の中国を避けることには慎重で、EUは保護主義的な利己心から行動すべきではないと述べている。

習氏は「(ドイツと中国は)台頭する保護主義を警戒し、市場志向のグローバルな視点から客観的かつ弁証法的に生産能力問題を見るべきだ」とショルツ氏に語った。

また、中国とドイツは機械製造や自動車といった伝統的な分野のほか、グリーントランスフォーメーションやデジタル人工知能(AI)といった新興分野の双方で協力する「巨大な可能性」を持っているとも述べた。

さらに中国が政府補助をテコに過剰生産しているとの批判について「中国のEV、リチウム電池、太陽光発電製品の輸出は世界の供給を潤しインフレ圧力を抑制しただけでなく、気候変動対応や低炭素移行にも大いに寄与した」と述べた。

メルセデス・ベンツのケレニウス会長は北京でドイツの放送局ARDに対し、中国とドイツの経済関係は育むだけでなく拡大すべきだと語った。

中国におけるメルセデスの戦略について、「これほど大きな市場から撤退することは選択肢ではなく、逆に当社の地位を強化することだ」と説明した。

ツィプセ氏はARDの番組で「われわれは(中国に関して)リスクよりもチャンスの方が多いとみている」と述べた。

<ウクライナ、中東情勢にも言及>

習氏はウクライナ危機について、できるだけ早く平和を回復させ、紛争が制御不能に陥らないようするための協力を全ての当事者に呼びかけた。

ショルツ氏に対し、中国は平和的解決に向けたあらゆる努力のほか、ロシアとウクライナの双方が認め、全ての当事者が平等に参加する国際平和会議の開催を支持すると語った。

ショルツ氏は習氏に対し、ロシアに戦争を終わらせるように圧力をかけるよう要請。原子力発電所などの核施設への攻撃を阻止することで習氏と合意したと述べた。

中東情勢を巡っては、パレスチナ国家樹立によるイスラエルとの「2国家共存」が長期的な安全保障と平和を達成する唯一の道となるとの考えで一致したと語った。

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