「昨年末にキャリアの相談を」 浦和・戸苅本部長、西野TD退任の経緯を説明「クラブを離れることは想定」

堀之内聖スポーツダイレクター(左)と戸苅淳フットボール本部長【写真:轡田哲朗】

堀之内SDはプロ契約「1つの覚悟、決意を示せると思った」

J1浦和レッズは4月16日のトレーニング後、新たに就任した堀之内聖スポーツダイレクター(SD)と戸苅淳フットボール本部長の取材対応を行った。西野努テクニカルダイレクター(TD)が前日限りで退任した経緯について、戸苅本部長は「昨年末にキャリアプランの相談を受けていた」と明かした。

浦和は2019年末に強化体制を一新してフットボール本部を設立。戸苅本部長、トップチームの強化責任者である土田尚史SD、それを補佐する西野TDの体制で発足した。その体制で4シーズンを終えた昨季の終了時に土田SDが退任したことに伴い、今季はSDが空位のままとなり西野氏がTDの肩書のままトップチームの強化責任者となっていた。そして、シーズン開幕してリーグ8試合を終えたこのタイミングで西野TDの退任と、堀之内SDの就任が発表された。

戸苅本部長は、「昨年末に西野さんからキャリアプランの相談を受けていた。ほかのクラブに行くかどうかは聞いていないが、クラブを離れることは想定していた」と明かした。そのうえで、堀之内SDについて「後任にふさわしいとすぐに思った。フットボール本部を含め、強化の仕事を7年半してきて素養があり、浦和を強くしたいという野心がある」と話す。

また、このタイミングでの強化責任者交代について戸苅本部長は、西野氏から具体的な退任についての話があったのは今月に入ってからだったと明かしたうえで、「クラブとしては十分に準備ができていると考えた。ベストなタイミングがいつなのかはなかなか難しい。両名とも話し合いを重ね、メリット、デメリットを考えた」とした。西野氏については、16日からはフットボール本部のスタッフとして引き継ぎ業務を行い、6月末で契約を解除する予定になっているという。

堀之内SDは浦和のホームタウンである浦和市(現さいたま市の一部)の出身で、東京学芸大学でのプレー時にはユニバーシアード日本代表でも活躍。卒業後に浦和へ入団すると最終ラインやボランチで堅実なプレーを見せてリーグ優勝などのタイトル獲得に貢献し、13年にモンテディオ山形でのプレーを最後に引退すると、浦和へクラブスタッフとして復帰。近年は強化部門を担当していた。

堀之内SDは「選手で10年、そしてクラブスタッフで10年のトータル20年間をこのクラブに関わらせてもらった。自分にできることは選手を支え、強くて魅力あるチームを作っていくことに尽きると思う。そこに精進していきたい」と話した。

また、堀之内SDは4月15日付で浦和レッドダイヤモンズ株式会社を退職し、16日からはSDとしてプロ契約を結ぶ形になっているという。これについて堀之内SDが「プロ契約をしなければいけなかったわけではなく、僕から申し出た。1つの覚悟、決意を示せると思った」と話した。

戸苅本部長は「土田、西野体制の3年計画立ち上げがフットボール本部の第一章。今のサッカー。これからのサッカーという点では堀之内SDが第二章。そこをサポートしていきたい」と、新体制のバックアップを約束していた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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