インスタグラムで「いいね」をもらうことが趣味の夫にうんざりしています。坂東眞理子さんのすっきり人生相談

仕事、健康、人間関係、親の介護、老後のお金……50代からの人生には不安や迷いがいっぱい。そんな私たちに「ウィメン・ビー・アンビシャス。自分で自分の人生に責任と覚悟をもって生きていこう」とエールを送ってくれる坂東眞理子さんが、皆さんのお悩みを解決します。

こちらもどうぞ。

©️廣江雅美

プロフィール
坂東眞理子
ばんどう・まりこ●1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事、内閣府初代男女共同参画局長などを務め、退官。現在、昭和女子大学総長。『女性の品格』『70歳のたしなみ』『幸せな人生のつくり方』など著書多数。

相談 ①
承認欲求の強い夫

夫の趣味は、インスタグラムに写真を上げて、「いいね」をもらうこと。外食の際オーダーした料理は、30枚ほど撮ってからでないと口をつけず、周りのお客さんに白い目で見られることもしばしば。食べたくもないこってりしたラーメンや、「映え」を狙った生クリームたっぷりのパンケーキを食べることもあります。もう6年くらい続いています。私は友達とランチするほうが気楽で楽しいのです。夫は人間嫌いで、友達もいません。ひとりでできる趣味もありません。(59歳・パート)

夫の性格を変えるのは無理です。せめて、同席する回数を減らしては

気が合わないところはうまく折り合いをつけて

レストランで料理が運ばれてきても、食べるのを後回しにしてパチパチ写真を撮る。相談者はそんな夫にうんざりしているようですが、私からの回答は「“亭主の好きな赤烏帽子(あかえぼし)”です。諦めてください」です。

批判したり、写真を撮らないように改めさせようとしたりすると、夫も気を悪くするでしょう。改めるどころか反発するだけでいい結果は生まれません。気に入らないかもしれませんが、割り切って限定的につき合ってあげることです。ときには「おひとりでどうぞ」と回数を減らし、自分の時間をつくって友達と気楽に楽しみましょう。

そして、この件以外のことについて「そういえばこの人はここもダメだ」「あそこも気に食わない」など、夫婦の戦線を拡大してはいけません。友達はいなくても、妻を大事にしてくれる夫なのでは? 相談者が別の視点をもち気持ちを切り替えるべきです。また、夫の承認欲求が強いのは自分が夫をほめてあげないからかも……などと深読みするのもNG。夫婦間で深読みしすぎるとお互いの違いが浮き彫りになるので、戦線は限定しましょう。

趣味も価値観も何もかもがドンピシャと合う人は少ないものです。多くのご夫婦は、合わない部分を抱えながらも折り合いをつけてやっているのではないでしょうか。世の中には競馬や競輪、女性にのめり込むひどい夫も山ほどいます。それに比べたら、相談者の夫の趣味はかわいいものです。

夫婦関係では「深読みしない&戦線を拡大しない」ことが大事

相談②
孫が発達障害かも? 祖母にできることは

近所に住んでいる長男夫婦には遅くできた子がいますが、どうも発達障害の兆候があります。パートでいろんなお子さんに接しているので何となくわかるんです。でも、嫁ちゃんに「検査に行ったら?」「発育が遅くない?」と言うと、関係が壊れそうで……。発達障害は、早めの対応で生活がしやすくなることもあるので、祖母として何かしたいのですが。?(70歳・学童パート)

お嫁さんに言うのはNG。息子に子育て相談機関などのアドバイスを

専門家のもとへ相談者が導いてあげて

子どもの成長に違和感や不安を抱いたら早めに受診するべき。発達障害は適切な療育・教育が必要で、症状も改善する可能性があるといわれているので、相談者が気づいてあげられてよかったと思います。

とはいえ、親である長男夫婦は気づいていないかもしれません。また、発達障害と遺伝子の関係性はいまだ不明な点が多く、「なぜうちの子が!?」とショックを受ける親も多いと聞きます。お嫁さんにいきなり「発達障害では?」などと言えば動揺させてしまうでしょう。だから、まずは父親である長男に伝えてみてはいかがでしょうか。

学童パートでいろいろなお子さんと接している経験から、「こういう例があるよ」「親の職業や知能は関係なく、現代は発達障害の子が多いようだから、念のために検査を受けさせてみたら?」と話し、心の準備をさせておいたほうがいいと思います。いきなり検査するのは抵抗があるようなら、子育て支援センターや児童相談所などの相談機関を利用するよう、すすめてみては。

長男夫婦にしてみれば、わが子をこの先どうやって育てていくのか考え、覚悟を決めなければなりません。そのために専門家へと導いてあげるのは祖母としてできることだと思います。

そして、検査を受けて発達障害という診断が下りたなら、なるべく早く療育を受けさせること。本人の困りごとを解決するため、そして周りがどう対応するべきかを学ぶためです。

長男夫婦にとってハードルの低いところから取り組めるよう、寄り添いながらサポートしてあげてください。

※この記事は「ゆうゆう」2024年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


私の実家の墓に入りたいのですが、昔気質の夫に相談できません。坂東眞理子さんのすっきり人生相談

© 株式会社主婦の友社