【モノがあっても心地いい家】元ミス日本・伊藤千桃さんに学ぶ収納術「自由なアイデアで骨董家具を収納棚にアレンジ」【後編】

家が散らかるのはモノが多いから。わかっていても捨てられない……。そう諦めてはいませんか? モノが多くても、片づけが得意でなくても、すっきり心地よく暮らす方法はあります。「捨てられない性格」と話す、元ミス日本・伊藤千桃さんに、整理や収納の工夫で心地よい住まいを作る秘訣を伺いました。

前編はこちら。

PROFILE
伊藤千桃さん・「桃花源」主宰

いとう・ちもも●1950年インドネシア、ジャカルタ生まれ。神奈川県在住。72年度ミス日本。
宅配レストラン「桃花源」を営み、旬の地野菜を使った料理で人気に。オリジナルの野草茶も販売(https://chimomo.official.ec/)。現在は民泊(Airbnb)サービスも行っている。
著書に『千桃流・暮らしの知恵』(※現在は電子書籍版のみの扱い/主婦の友社)

自由なアイデアで茶箪笥に靴をしまう

伊藤さんの愛用品は、長く使い続けている思い出深いものばかり。

「物欲は少ないほうでもの選びについては、出合いとご縁だと思っています。心惹かれたものを少しずつ集め、大事に手入れをしてきました」

流行に関心がなく、好きなものが何十年も変わらないという。お気に入りの茶箪笥とベンチを買ったのは20年以上前のことだ。

「横浜中華街の骨董屋巡りをしていて運命的に出合いました。値が張るのでなかなか決心がつかず、何度も通っているうちに店主と仲よくなり、格安で譲っていただきました」

茶箪笥を開けると、眼鏡やスニーカーがぎっしり。固定観念にとらわれず、収納するものや方法を変えていくのが伊藤さんの流儀だ。

「トレーを収納している革バッグは倉庫の片隅にあった大昔のもの。こういうものがたくさんあるので、引っ張り出しては再利用しています」

お気に入りの 骨董の茶箪笥を 靴入れに
ダイニングに置かれた茶箪笥をシューズボックスにしたのは最近のこと。「愛犬が噛むので大切な靴はこの中にしまうようになりました」
重くかさばる大皿類はベンチの下に重ね置き
下に置かれた大皿はケータリングや来客時などに使用。「重ねて床置きし、布をかぶせれば大皿でも圧迫感がなくほこりもガードできます」
娘の革バッグはトレーの収納にぴったり
大きな革バッグは娘さんが学生時代に使っていたもの。使わなくなったものも大事にとっておき、たくさんあるものの整理や収納に活用。
使わなくなったアンティーク金庫をCDボックスに
CDを収納しているのは手提げの金庫。「桃花源を始めた頃、鎌倉の骨董屋で1000円だった掘り出しもの。今でも物入れとして活用しています」

貴重な骨董品・水屋箪笥に衣類を収納

水屋箪笥は、6年前、横浜の古いお屋敷が壊された際、成り行きで引き取ることになったものだ。

「知人が屋敷の主と知り合いで、ある日突然、運ばれてきました。寝耳に水の出来事で、少々憤慨していたのですが、よく見たらあまりにも立派なので使うことにしました」

そして、洋服箪笥代わりにしたいと、収納方法に試行錯誤を重ねた。

「当時、衣類を2階に収納していて、1階の私の部屋から、いちいち取りに行くのが面倒だったんです」

やがてワンピースやニットなどアイテム別に風呂敷に包み、収納することを思いついた。畳んで重ねるだけでは形が崩れやすく取り出すのも大変だが風呂敷に包めば大丈夫。

「ウチが引き取らなければ、この水屋箪笥は壊すことになっていたと後で聞きました」

伊藤さんにとってのモノは、ともに年を重ねていく、暮らしの相棒。だから、一つひとつを大事にし、愛着をもって使っている。水屋箪笥も蜜蝋や糠などでふいてお手入れをし、今でも美しいツヤを保っている。

風呂敷との組み合わせでクローゼット代わりに
和室に置かれたいただきものの水屋箪笥には、洋服を収納。風呂敷で包めば形をスペースに合わせやすく、ほこりから守れて、取り出すのも簡単。
自然の恵みは素敵な部屋のインテリアにもなる
松脂を含んだ松ぼっくりは薪ストーブの着火剤に。
「みかんは知人から大量に贈っていただいたもの。無農薬なので皮も捨てず、乾かして陳皮に。お茶やスープ、鶏の煮物などに入れたり、入浴剤にしたりします」

※この記事は「ゆうゆう」2024年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/橋本 哲 取材・文/坂口みずき


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