巨大トンネル掘削に密着! カメラが捉えた岩盤爆破の瞬間【東海環状自動車道・養老トンネル】

トンネル内に潜入

現在建設中の高速道路「東海環状自動車道・養老トンネル(仮称)」の工事現場にカメラが潜入!(「養老トンネル」は仮称。記事では以降、(仮称)を省略)

東海環状自動車道とは、愛知・岐阜・三重にまたがる「NEXCO中日本」の高速道路で、 「養老トンネル」を含む養老インターチェンジ・大安インターチェンジ間が最後の工事区間。開通すれば、岐阜と三重が初めて高速道路でつながり、交通の便がさらに良くなる。

山を貫け!巨大トンネル掘削現場に潜入

全長約4.8キロメートルの「養老トンネル」

カメラが潜入した「養老トンネル」は全長約4.8キロメートルにもおよび、現在、岐阜と三重の両側から掘り進めている真っ最中。

養老山地のポイントへ

取材班は、岐阜県海津市にある養老山地のポイントに潜入! 養老の滝で有名な養老山地の地層は地下水を大量にため込んでいるため、水脈に当たってしまうと、トンネルは水浸しに…。作業がストップする場合もあり、工事の難易度は高い。

トロッコで運搬

現場監督・吉水俊毅さんの案内でトンネル内に入ると、そこにあったのは10人ほどが乗れるトロッコ。トロッコを運ぶレールは作業場となる1キロメートルほど先まで続いていて、作業員だけでなく、作業用具も運搬している。

トンネル掘削のスペシャリスト

ここで現れたのが勇敢な冒険者…ではなく、トンネル掘削のスペシャリストたち!

荷物に“火薬”と書かれている!

作業員の皆さんが担いでいる荷物には“火薬”の文字が…。一気に現場の緊張感が高まる。

掘削現場に到着

トロッコに乗ること15分で最深部となる掘削現場に到着。この先は、硬い岩盤に閉ざされている。

激撮!トンネル掘削 岩盤の“秘孔”を突け!

ホイールドリルジャンボ

掘削現場に現れたのが、「ホイールドリルジャンボ」。 トンネルや鉱山の掘削現場で威力を発揮する作業車で、いくつものホースやケーブルがむき出しになっているその姿には、特殊作業車ならではのロマンがあふれている。

ドリルが硬い岩盤を突き破る

「ホイールドリルジャンボ」には2つのアームがあり、1台ずつ2人で操作。アームの先端に付いているドリルが硬い岩盤を突き破り、いともたやすく穴を開けることができる。

岩盤を崩すような大きな穴ではなく、深さ1メートル、直径5センチほどの小さな穴を60カ所開け、なんとその穴に作業員が1つずつ手作業で60本の爆薬を投入する。

「ホイールドリルジャンボ」を一旦撤去して安全な場所に移動

当然、いつも同じ場所に穴を開けるわけではない。水脈に当たると工事が中断してしまうため、湧き水が多そうな箇所を見極め、毎回位置を変えている。まさにプロがなせる技!

爆薬を装填した後は、照明が爆破の衝撃で飛んだり破損したりしないよう、一旦撤去。「ホイールドリルジャンボ」も安全な場所へと移動する。

爆破現場の至近距離にカメラ3台を設置

いよいよ点火準備に入るが、取材班が待機場所として誘導されたのは、完全な安全地帯とされる約150メートル離れた場所。しかし、「どうしても映像に収めたい…」。取材班は頼み込んだ末、爆破現場の至近距離にカメラ3台の設置を許してもらった。

現場に緊迫感が漂う中、「発破1分前です」という機械音声とともに響き渡るサイレン…。

発破10秒前からカウントダウンが始まり、点火の合図とともにスイッチが入る。

細かい破片がトンネル内に飛び散る

「ズババババン!」爆破とともに響き渡る大爆音! カメラが捉えた映像をスローで見ると、細かい破片がトンネル内に飛び散っているのがよくわかる。

地道な作業を何千回と繰り返す

煙が収まった後、岩盤を見に行くと、ご覧の通り粉々に…。

しかし、これだけ手間をかけて行われた1回の爆破で進んだ距離は、わずか1メートル。爆破で崩れるのは、事前に掘った穴と同じ、深さ1メートルのみだという。

日本の物流を支えるトンネルを貫通させるには、この地道な作業を何千回と繰り返さなければならない…。人々の安全を考え、大規模な崩落を防ぐためには、このように少しずつ掘り進めるしか道がないのだ。

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