担架で運ばれるKO負け→東京Dで雪辱宣言 5.6に世界挑戦・桑原拓「虎になります。最強なので」

練習前の会見でカメラに向かって拳を突き出す桑原拓【写真:浜田洋平】

桑原拓が練習公開

ボクシングのWBA世界フライ級3位・桑原拓(大橋)が16日、5月6日に東京Dで行われる同級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)への世界初挑戦に向け、神奈川・横浜市内の所属ジムで練習を公開した。同門の世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥と元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)の歴史的一戦の興行に参戦。3年前には担架で運ばれるKO負けを喫した相手に対し、大舞台での雪辱を狙う。戦績は28歳の阿久井が19勝(11KO)2敗1分け、29歳の桑原が13勝(8KO)1敗。

練習前の会見冒頭、陣営の大橋秀行会長は言った。

「KOされて担架で運ばれる負け方だった。桑原にも期するものがある」

2021年7月、桑原は日本フライ級王者だった阿久井に10回TKO負け。初回にダウンを奪われ、僅差の劣勢で最終回へ。逆転を狙ったところでもう一度倒された。あれから3年。得意のスピード一辺倒だった自分を見直し、パワーもつけて戻ってきた。再起後は5連勝中。調整段階で過去最高の手応えがある。

「今までで一番仕上がっています。特にメンタルですね。ボクシングをやっていて毎日が凄く楽しい。世界挑戦までの時間が充実しています。スパーリングでもスタミナ、メンタルはもちろん、前回よりパワーアップしている」

動きがよく、こなしたスパーの数は「わからない」というほどいつもに以上に多い。前戦は昨年7月。間隔が空き、再開当初のスパーは「イメージ通りに動けずに苦しんだ」というが、復調した。「3年前を思い出し、それを払拭する練習をしてきた」。阿久井の猛烈な圧力のかけ方が印象的。「今回はそうはさせない。前回から自分も見違えるくらい全てのスキルが上がった」と力強い。

この日の公開練習でシャドーを披露した桑原【写真:浜田洋平】

桑原「接近戦になる場面もある。ハートで勝負したい」

阿久井は11KOのうち9度の初回KOを誇る。今年1月に6度防衛中だった王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)に対し、終始攻めて3-0の判定勝ちだった。リングサイドで観戦した桑原は「睨みつける目が凄かった」と評する。

それでも、勇猛果敢な姿勢を崩さない。自身を何に例えるのか。「虎になります」と言い切った。「虎は最強のイメージなので」。一方、試合に向けた特製Tシャツはハートマーク付き。依頼した担当者が決めたデザインのため「意図はわからない」と苦笑いするが、「絶対に接近戦になる場面もある。ハートで勝負したい」と強い気持ちを貫いた。

この日はシャドー2回、サンドバッグ打ち2回を公開。「今も研ぎ澄まされているので、この状態をキープしたい。前回、倒されているので倒し返したい。気合いが入りすぎないようにしながらも、最後は自分が勝っているイメージを持ちながら過ごしたい」。大橋ジム4人が世界戦に臨む超大型興行。「スピードスター」の愛称を持つ29歳が、世界戦トップバッターで盛り上げる。

○…興行はAmazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上と桑原のほか、WBO世界バンタム級5位・武居由樹(大橋)が王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)に世界初挑戦。尚弥の弟のWBA世界同級王者・井上拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)との2度目の防衛戦に臨む。同じ興行で世界戦4試合は国内最多3試合を超える史上最大規模となる。

THE ANSWER編集部

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