【原宿の交差点に銭湯誕生!なぜ?】小杉湯3代目にインタビュー|ハラカド地下1階「チカイチ」

家の近くの銭湯が閉業して以来、いつか自ら銭湯を営業できないだろうかと密かな野望を持つ筆者。そんな風呂好きとして見逃せないニュースが飛び込んできました。なんと、原宿のど真ん中、あのラフォーレ原宿のある交差点に、銭湯ができるというのです。それも、2024年4月17日(水)に開業する話題の新スポット「ハラカド」の地下1階に。高円寺で91年間営業する小杉湯の、新たな挑戦「原宿のど真ん中に銭湯を作る」試み。一体なぜ? 早速内覧会に参加し、一足先に現地を視察、小杉湯3代目の平松さんにもお話を伺いました。

話題の原宿新スポット「ハラカド」

2024年4月17日(水)、原宿にオープンする話題の新スポット「ハラカド」。原宿・神宮前エリアをクリエイティブの聖地にすることを見据えた街づくりの一端として、商業施設ではなく、新しい体験価値を生み出す場所「創造施設」と打ち出しています。

「原宿のまちの食堂」5階は“たまり場”をテーマにしたグリーンが映える空間

「原宿のまちの食堂」6階には個性的で多様性のある食が集まる

クリエイターを育成・支援・共創するプラットフォーム(会員制カフェラウンジ・スタジオ・ギャラリーなど)はもちろん、多様な22店舗が集まるフードコート「原宿のまちの食堂」や、個性的な33店舗のテナント、屋上テラスなども。今回紹介する小杉湯は、地下1階、銭湯を中心とした街のようなフロア「チカイチ」に登場しました。

小杉湯ってこんな銭湯です

小杉湯原宿

高円寺にある小杉湯の創業は昭和8年。高円寺らしい「ごちゃ混ぜ感」をぎゅっと凝縮したような、街の銭湯です。今回開業する「小杉湯原宿」も、そんな街の銭湯らしさや小杉湯ならではのこだわりはそのまま。だから入浴料金も、東京都内の公衆浴場の入浴料金そのまま、大人520円(税込)なんです。

原宿のど真ん中で話題の新スポットの中にあって、この料金。素晴らしい!

ロッカースペースは清潔感と温かみのある木の素材がいかされています。ドライヤーは昔ながらの20円入れるスタイル。ベビーベッドのある化粧室も備えています。

男湯と女湯はほぼ同じ大きさ。浴槽は、熱湯と水風呂、そして高円寺の小杉湯名物でもある「ミルク風呂」の3つです。サウナはありませんが、熱湯と水風呂を交互に入る「温冷交互浴」が楽しめます。9つの洗い場と2-3人が座れる内気浴スペースもあり。

左が熱湯、右がミルク風呂

“銭湯といえば富士山”! 日本に二人しかいないといわれている、富士山の絵を描く銭湯絵師・中島盛夫さんの作。

清潔感のある白いタイルは小杉湯のこだわりでもあります。銭湯が、ケ(日常)の日のハレであるように。毎日心を込めて磨き上げ、温かいお湯を沸かして、待っていてくれるのです。

※プレオープン期間:2024年4月17日(水)〜5月12日(日)は、神宮前1丁目〜6丁目エリアにお住まいの方、または勤務地のある方の利用となります。

「チカイチ」でできること

地下1階は、銭湯を中心とした街のようなフロア「チカイチ」になっています。ビールを飲みながらゆったりくつろいだり、美顔器やヘッドスパを気軽に試してみたり、ストレッチをしたり……誰もがありのまま、「素」のままになれる場所。

湯上がりはもちろん、どんなときにも立ち寄れて、「チカイチ」を満喫するのに一役買ってくれているのが、チカイチパートナーとして参加する企業です。

アンダーアーマーでは、誰でも活用できるランニングステーションとストレッチスペースを用意。

ハラカド「チカイチ」アンダーアーマー ランニングステーション

https://www.underarmour.co.jp/feature/harakado-uarunningstation/

マイトレックスのブースでは、美顔器やヘッドスパ、ハンディガンなど多くの美容健康家電をお試しできます。

MYTREX〈マイトレックス〉公式X

https://twitter.com/Mytrex_JP

花王のブースでは、歴代パッケージデザインの中から数点を復刻し、購入した花王石鹸(1個税抜150円)の包み紙として選べるのだそう。

花王と小杉湯が協働

新商業施設「ハラカド」から清潔・清浄体験を創造し発信

https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2024/20240409-001/

サッポロビールでは、最高においしい“完璧な生ビール体験”ができるビールスタンドを設置(有料、取材時価格未定)。

サッポロビール

https://www.sapporobeer.jp

チカイチは、小杉湯を利用した人たちだけでなく、誰でも立ち寄れる場所。銭湯の後の湯上り処としてはもちろんですが、湯上り独特のゆる〜い空気が流れる場所は、原宿散策の休憩場所としてもほっこりできるかもしれませんね。

3代目平松さんにインタビュー

2017年に小杉湯を継いだ3代目・平松佑介さん。この8年間、毎日、高円寺から出ることもなく、ひたすら小杉湯に向き合い続けてきたといいます。高円寺以外で銭湯をやることなど考えたこともなかったという平松さんが、小杉湯原宿をオープンすることになった背景とは?

平松さん:小杉湯を継いでから、それまで以上にお客さまも増えて、老若男女問わず働きたいと言ってくれるスタッフが集まって、継ぐ前から想像もつかないような風景を見ることができました。ただ、そんな風景を前にしても、銭湯を続けていける財務状況は作れなくて。

高円寺の小杉湯は昔ながらの銭湯で、国登録有形文化財にもなった建物。年間の修繕費もかかりますし、銭湯という公共の役割を持っているものを民間で運営するので、そこに矛盾があって……経営の難しさを感じています。

ー入浴料と行政の補助金だけでは経営は厳しい?

平松さん:そうですね。入浴料に関しては東京都が価格を決めている、という前提があります。ただその価格はきちんと統計をとって出している適正値だと思っています。入浴料を値上げしたい訳ではないんです。

8年小杉湯を経営して感じたのは、銭湯ってすごく求められているし、すごく必要な場所だということ。今は家にお風呂がある時代ですが、街にいい銭湯があるって豊かなことだなと思うんですよね。だからなくしたくない。僕は、高円寺の街に根ざし、愛されてきた小杉湯を、本気で次の100年も残したいと思っています。

今のままで続けられるならこんな大きな挑戦なんてしなくていい。でもそれでは日本の銭湯を次の時代に残していくことは難しい。そんな背景から生まれたのが小杉湯原宿です。

小杉湯原宿は、東急不動産との出会いがあり、チカイチのスポンサーを始め、さまざまな企業のサポートがあり、そして小杉湯だから実現した大きな一歩だと思っています。

ー小杉湯原宿が誕生したことで、財務の問題は解決したのでしょうか?

平松さん:この一歩がどうつながっていくかは、まだわからないです。けれども、新たに銭湯を造れば、銭湯という場を知っていただける、体験する人が増える。やっぱりこういう銭湯っていいな、日本の文化として残したいな、と思ってもらうことが大切だと考えています。

さらに、ここは原宿の交差点というカルチャーの発信地で、土地に力がある。そういう場で僕らも何か発信していきたい、とすごく共感しましたし、化学反応に期待する部分もあります。

銭湯を新たに造る、ということが、企業にとっても、地域にとっても、社会にとっても価値があるということを、伝えていきたいです。

小杉湯原宿

東京都渋谷区神宮前6丁目31−21 東急プラザ原宿「ハラカド」B1F

[公式X][公式Instagram]

プレオープン期間:2024年4月17日(水)〜5月12日(日)

営業時間:7:00-12:00/18:00-23:00

ご入浴いただけるお客様:神宮前1丁目〜6丁目エリアにお住まいの方、または勤務地のある方 ※住所が確認できるもの必須

グランドオープン:2024年5月13日(月)以降

営業時間:7:00-23:00

ご入浴いただけるお客様:プレオープン期間の混雑状況を踏まえて方針を決定

入浴料金:

大人(12才以上)520円(税込)

中人(6才以上12才未満 小学生)200円(税込)

小人(6才未満 未就学児)100円(税込)

※店舗や時期により商品の仕様や品揃え、価格が変わる可能性がありますので、ご注意ください。

※店舗営業については最新情報をご確認ください。

©︎Aya Yamaguchi

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