「彼はまだ“終わっていない”」苦戦続きのジョコビッチに元コーチのバイダ氏が見解を示す!<SMASH>

四大大会で24度もの優勝を誇る男子テニス世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を2006年から約15年にわたって指導したマリアン・バイダ氏(スロバキア)が、テニス系海外メディア『UBITENNIS』のインタビューに登場。その中で苦戦が続く“かつての教え子”の再起に期待を寄せた。

昨季は四大大会3勝(全豪・全仏・全米)を含む7つのツアータイトルを獲得した36歳のジョコビッチ。ところが今季は未だ優勝がなく、それどころか出場3大会で1度も決勝に進出できていない。

先週第1シードとして参戦した「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月7日~14日/モナコ・モンテカルロ/クレーコート/ATP1000)ではベスト4に進出したものの、準決勝で過去5戦全勝だったキャスパー・ルード(ノルウェー/現6位)に敗退。年明けからどこかピリッとしないプレーが続いている印象だ。

ただ、バイダ氏から見ると最近のジョコビッチは、1月の全豪で準決勝敗退を喫した後に約1カ月間の休養を取るなど「適切なバランスを見つけようとしていると感じる」と言う。

続けて同氏は、ジョコビッチの年齢も踏まえた上で「あまりにも密度の濃いスケジュールが設けられている」ATPツアーにおいて「彼が以前のように全ての大会でプレーすることは想像できない」とも発言。その中で最優先事項を考えながら転戦することは、非常に難しいと自身の見解を述べた。
「彼にとっての最大のモチベーションは四大大会とパリ五輪なのだから、時間を見つけてしっかりと準備、トレーニングをする必要がある。ただそうすると、他の大会に集中することはできない。本当の問題は、その新しい方針の中で勝てるかどうかということだと思う。大会に参加する回数が少ないと、自分より多くプレーしている選手に比べてトレーニングが不足してしまう可能性があるからだ」

それでもバイダ氏は、数々の輝かしい功績を残してきた愛弟子の経験則に期待したいとコメント。また近いうちにジョコビッチが、昨季同様の類まれな強さを取り戻すはずだと語った。

「ノバクはそういう状況の中でうまくやっていく方法を知っている。苦戦が続いているのは単に彼の年齢のせいであり、彼は非常に知的な人間だ。新たなトッププレーヤーの中には彼ほどの経験値を持っている者はいない。

昨年もインディアンウェルズやマイアミなどいくつかの大会を欠場したが、その後に全仏オープンで優勝したし、ウインブルドンでも決勝に進出した。さらには全米オープンでの優勝もあった。だから、彼はまだ“終わっていない”と思うし、今年はそのことをもう一度証明するつもりでいると思う」

確かにバイダ氏の言葉通り、このままジョコビッチが終わるとは思えない。まだまだ続くクレーシーズンで徐々に調子を上げてくるのではないか。そう予想しているファンも多いことだろう。

文●中村光佑

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