「今の状態を見るのは辛い」元ブルズのクーコッチがジョーダンと関係悪化のピッペンに懇願「マイケルに対する考えを変えてほしい」<DUNKSHOOT>

1996~98年にシカゴ・ブルズがフランチャイズ史上2度目のリーグ3連覇を果たした際、チームにはマイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマンの“ビッグ3”に加え、クロアチア出身のシックスマン、トニー・クーコッチがいた。

近年、ジョーダンとピッペンの不仲が話題を集めているが、クーコッチは2人の関係が崩壊したことに心を痛めているようだ。

1992年のバルセロナ五輪でジョーダンとピッペンもいたアメリカ代表と対戦したクーコッチは、1993-94シーズンにブルズに加入してNBAデビュー。守備には難があったものの、オフェンスは一級品で、自由自在にドライブを繰り出し、広いシュートレンジと勝負強さを兼備。

3年目の95-96シーズンには平均13.1点、4.0リバウンド、3.5アシスト、3ポイント成功率40.3%をマークして最優秀シックスマン賞に輝き、その後の3連覇に大きく貢献した。

阿吽の呼吸で“史上最高のデュオ”とも謳われたジョーダンとピッペンだが、コロナ禍の2020年に公開されたブルズ黄金期の舞台裏を追ったドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』で、ジョーダンが必要以上に好意的に描かれていたことにピッペンが不快感を示し、関係悪化が急速に進んでいく。
21年に発売されたピッペンの自伝『Unguarded』においては、「ジョーダンは自分を美化する一方で、私をはじめとしたチームメイトには十分な称賛を与えなかった」とかつての相棒を批判。

さらに、昨年5月にはブルズ時代の同僚ステイシー・キングがホストを務める番組『Gimme The Hot Sauce』で、「ジョーダンはひどい選手で、一緒にプレーするのが恐ろしかった。すべて1対1で、ショットセレクションも悪かった」と、ジョーダンを“ワンマンプレーヤー”呼ばわりして火に油を注いだ。

今年1月に行なわれたフランチャイズの歴史を通して特別な貢献をした過去の選手たちやコーチ陣などの関係者を称える「リング・オブ・オナー」の表彰式にも出席しなかった両者。21年に殿堂入りした際、ジョーダンとピッペンに対して感謝の言葉を述べていたクーコッチはスポーツチャンネル『Sportklub』で、今の状況を「悲しい」と胸中を明かしている。

「スコッティとはしばらく会っていない。彼とマイケルの関係(確執)は悲しいよ。マイケルとは今も話す。マイケルは今でも彼(ピッペン)を愛しているし、感謝している。スコッティがいなかったら、自分がやってのけてきたことは実現できなかっただろうと言っているからね。今の状態を見るのは辛いよ。マイケルに対する考えを変えてほしいね」
ピッペンは94年プレーオフのカンファレンス準決勝第3戦、同点で迎えた第4クォーター残り1.8秒の場面でクーコッチにウイニングショットを打たせるようにフィル・ジャクソンHC(ヘッドコーチ)が指示したことに腹を立てて最終ポゼッションでプレーするのを拒否した過去がある。

21年6月にポッドキャスト『Dan Patrick Show』に出演した際、ピッペンはジャクソンHCに関して「人種差別主義」という旨の発言を残して波紋を呼んだが、クーコッチはこの件に関しても触れている。
「フィル(ジャクソンHC)が私にシュートを打たせたかったから人種差別主義者だというのは、パスすることに何の躊躇もなかった昔のスコッティとは違う。マイケルはGOAT(史上最高の選手)だけど、バスケットボールをプレーするなら、スコッティがベストなチームメイトだ」

かつての姿を知るクーコッチにとっては、今のピッペンは人が変わってしまったかのように映っているようだ。

構成●ダンクシュート編集部

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