「設計図はないから、この掛け声だけが設計図なんです」 大雨で壊れても組み立て直してまた使える「流れ橋」 岩手・住田町で住民による架け替え作業

3月下旬の大雨による気仙川の増水で流された「流れ橋(ながればし)」を地域住民の手で架け直す作業が岩手県住田町で13日に行われました。

(住民たちの掛け声)
「そーら、よいしょ。もっともっと前さ出して」

架け直し作業が行われたのは住田町下有住の松日地区と中山地区をつなぐ長さおよそ40メートルの木製の橋「松日橋」です。木材を組み立てただけの簡易な構造で地域住民で管理しています。

3月の大雨による増水でバラバラに壊れてしまいましたがそれぞれの部材がワイヤーで繋がっていて組み立て直してまた使うことができます。こうした橋は「流れ橋」と呼ばれ、かつてはこの周辺だけで7本ありましたが今では松日橋ただ1本です。

13日は地域住民ら13人が大雨で流された橋板や橋脚部分を合図に合わせて持ち上げて元の形に組み立て直しました。

(受益者組合 金野 純一 組合長)
「設計図はないから、この掛け声だけが設計図なんです」

橋を管理する受益者組合の金野純一組合長です。地域の生活に密着した流れ橋ですが最近では車を使ってコンクリート製の橋を迂回する人がほとんどだと言います。それでも…

(金野 純一 組合長)
「(この風景は)残しておきたいと思ってね。皆がやれるうちは。長く持てばいいなというのが一番の気持ちです」

3年ぶりとなる架け直し作業は、地域に根付いた伝統を未来につなぐ機会となりました。

© 株式会社アイビーシー岩手放送