【インタビュー】ゴホウビ、とにかくウキウキできるクアトロピッツァのようなEP完成「私たちはこういう音楽やってます」

ゴホウビが、4月3日に1st EP『GOHOBI QUATTRO -sweet-』をリリースした。

“男女混声豆腐メンタル4人組バンド”と自称する彼らが放つ初のEPは、まさにゴホウビそのものが詰まった作品となっている。楽しく気分を上げてくれる楽曲から、メンタルの深層に染みる楽曲、パッケージデザインに至るまで“らしさ”をたっぷり楽しむことができる。

本作のリリースに寄せて、BARKSではインタビューを実施。作品の細部に迫った。なお、本インタビューはゴホウビのYouTubeトーク&セッション番組「HOBI LABO」でも一部を公開。生インタビューの様子を知れる映像ともあわせて読んでいただけると幸いだ。

◆ ◆ ◆

◼️これからはこのEPが名刺代わりになる

──今回、インタビューの模様を映像でも配信するということで、YouTuberらしい喋り姿を今目の前で見させてもらいましたけど(笑)。

cody(Vo, G):ドキドキしました(笑)。

──動画配信、始めてみてどうですか?

スージー (Vo, Key):めちゃめちゃ楽しいよね。YouTubeに関しては、むんちゃが中心になって考えてくれてるんですよ。 編集も、むんちゃがやってて。

むんちゃ(Dr, Cho):他の人に手伝ってもらいながら何とかやってます。この4人の中で私が唯一YouTube Premiumに入ってるのかな。そのくらい、元々YouTubeとか動画配信が好きで。自分たちでやることになってからもう1回いろいろな動画を観たんですけど、勉強になりますね。考えないといけないことがたくさんあるなって。

──この4人はゴホウビを組む前にメジャーレーベルでの活動を経験していますが、ゴホウビとしてメジャーデビューしてからもう2年目になりましたね。この環境で活動を重ねてみて感じていることを教えてもらえますか?

cody:リリースを絶えずさせてもらって、大事なワンマンを2回できて、バンドとして筋力がついてきたなと思ってます。だけど、「もっとできたな」「もっとこういうことがしたいな」ということも、1年経験したからこそ出てきてますね。

スージー:私は5~6年前にソロでメジャーデビューを既に経験していて、その時に「もっとこうしたらよかったな」「こういうことはしなきゃよかった」ということを散々感じたんです。その経験があるからこそ乗り切れることもたくさんあるだろうと思っていたし、もちろんそういうこともあるんだけど、結局当時と同じことで悩んでいる自分に気づいて。そこが自分の弱さだなって思いました。

──例えば?

スージー:数字に踊らされたり、自分の周りのアーティストがちょっとでも先に行っているように見えたら落ち込んでしまったり、メンバーとかスタッフとか、周りの人の目を気にしすぎて自分の色を出せなかったり。そういうところは結局変わらないなと思いました。それで「私って何が好きで歌を書いてるんだろう?」と思い返したら、メンバーにデモを聴かせたら「すげえいいじゃん」って笑ってくれた瞬間とか、ライブで歌ったら目の前のお客さんが泣いてくれたり喜んでくれたりした瞬間とか……もっと遡れば、高校時代に友達や当時好きだった人に「曲作ってみたんだ」って聴いてもらった時に笑ってくれた瞬間とか……そういう顔が見たいから歌を歌っているし、曲を作っているんだった!って思ったんです。それなのに、なんですぐ「売れない」とか思っちゃうんだろうな、と。もっとシンプルな考えで音楽をやろうと思いました。

──スージーさんが思い悩んでるようだと察した時、お三方はどのように接するんですか?

むんちゃ:私は静かにしてる。

スージー:codyは「スージー、大丈夫?」って声かけてくれるよね。で、405は、傷に塩を塗る(笑)。

405(B):それだと、俺めっちゃ性格悪いみたいだけど(笑)

スージー:言い過ぎた(笑)。まあ、それはお互いにというか。私、405が落ち込んでたら「何そんなことで落ち込んでんの? くだらない」とか言っちゃうタイプなので。

──そういう存在も必要ですよね。

スージー:そうですね。「そんなんでいいのか?」って喝を入れてくれるというか。なので、3人とも味方でいてくれますね。

──5~6年前と同じことで思い悩んじゃうという話でしたけど、立ち直るのが早くなったとか、そういう変化はありましたか?

スージー:昔の私は、落ち込むのが好きだったんですよ。表現者は不幸であればあるほどいいという思い込みがあったから、常に落ち込んでたんです。普通の感覚だったらそこまで落ちないようなことでも、底が見えるまでほじくって、「私はもうダメだ」みたいに言いたがっていたというか。だけど、それは不毛な時間だと最近分かったんですよね。当時は不幸がることや憂鬱がることを美徳としている自分がいましたけど、今はシンプルに、幸せを感じたいというマインドになっていて。そうすると、自分が好きなもの、楽しいと思えるものを自然に選び取っていくので、 毎日が楽しくなるんです。そのなかで、もしも自分の苦手なことに直面して落ち込むことがあっても、性格的に一瞬どうしても「自分ダメだ」って思うんだけど、最終的には「まあ、そもそも、そんなできた人間じゃないし」「何を自分に期待しすぎてるんだろう」「できないんだから、できないなりにやったらいいじゃん」と思うことができる。そうやって開き直るスピードは、確かに昔より速くなってるなと思いますね。

cody:あと、引っ越したタイミングから明るくなったよね。憑き物が落ちたかのように。

むんちゃ:(前の家に)なんかいたんか?(笑)

スージー:405から「独房みたいな家に住んでるね」って言われたようなところに、7年住んでたんですけど(笑)。

──どんな家だ(笑)。

スージー:今は前より広い部屋だし、 島根に住んでるむんちゃが東京にいる時はうちに来てくれるので。そういうのも含めて、 今までにない生活に……って、“アーティストとして”とか“ミュージシャンとして”じゃなくて、“人間として”みたいな話になってきてるけど(笑)。

cody:(笑)。でも、前より明るいスージーになったなって思うよ。

──あと、前はソロだったけど今はバンドだという違いも大きいんじゃないんですか? 4人でいたら、ずっと閉じているわけにはいかないだろうし。

スージー:そうですね。やっぱ1人で考えていると意固地になるし、昔は外部からの刺激をとにかく避けようとしていたんですよ。自信も今よりもっとなかったから、誰とも関わりたくないなって。だけど今は、常に刺激がありますから。人と喋っているだけでも……それが別に大した話じゃなくても、 人と繋がりを持つ、コミュニケーションを取ることで、自分の中に新しいものが取り入れられている感覚が常にあって。曲=外部から刺激を受けて書くものに変わったから、前までは「 私が」という主張しかなかったけど、今は主張は持ちつつも、「こういうふうに表現した方が人に伝わりやすいかも」みたいなこともすごく考えるようになったんですよね。

──今回のEPに入っている6曲にも、「誰かに届けたい」という気持ちが詰まっているなと思いました。メジャーに来てから初めてのCD作品ですが、このタイミングでまとまった作品を出そうと決めたのにはどんな経緯があったんですか?

スージー:もっとゴホウビを広めたいなと思った時に、盤があれば歌いに行けるなと思って。

──インストアライブができるようになるということですよね。あと、バックヤードで他のアーティストに会った時、挨拶しながら渡せるものがあると便利だろうし。

スージー:はい。今までは「CDないの?」と言われても「すみません、ないんですよね……」という感じだったけど、これからはこのEPが名刺代わりになるから、「どうもゴホウビです」っていろいろなところに挨拶に行けるなと思って。そのきっかけを作りたかったんです。

cody:「これぞゴホウビ!極上ポップス召し上がれ!」と帯に書いてあるんですけど、「ゴホウビを知ってもらうには、どの曲がいいかな?」とメンバーやチームのみんなで話し合いながら内容を決めていって。その結果、本当にカラフルというか、「こういう一面もあるよ」というところまで見せられる内容になったと思っています。だからスージーも言った通り、本当に名刺みたいなEPになったなと。ジャケットもすごくこだわったし、手に取ってほしい1枚になりましたね。

▲デラックス盤ジャケット
──ジャケット、かわいいですよね。ピザの上に4人が座っているイラスト。

スージー:なんでピザなのかと言うと、私たち、11月15日に渋谷CLUB QUATTROでワンマンライブをやるんですよ。渋谷CLUB QUATTROは、私たちにとって史上最大キャパ。埋まるのかと言われたら、正直頑張らなきゃという感じなんですけど……でも、ゴホウビは常に自分たちを奮い立たせるような挑戦をしてきたので、安牌なところで活動するんじゃなくて、このタイミングで挑戦しようと決めたんです。で、QUATTROでのワンマンライブが決まったあとに「4月に盤を出そう」という話が出たので、じゃあこの1年は「Road to QUATTRO」というテーマで行こうじゃないかと。それで『GOHOBI QUATTRO -sweet-』というEPのタイトルがまず決まったんです。

──なるほど。

スージー:クアトロといえば、4種のチーズのピザ・クアトロフォルマッジ。学生時代にみんなで集まって宅配ピザを頼む時のワクワク感やときめきは、私たちが活動する上でのテーマともすごく合っているし、私たちも4人で1つのバンドだから、いいんじゃない?という話になりました。今までリリースしてきた曲に新曲の「MOKE MOKE」をプラスして、聴いていてとにかくウキウキできるような、まさにクアトロピッツァのようなEPになったと思ってます。

──因みにみなさんは、何味のピザが好きですか?

むんちゃ:私はプルコギ。

405:俺はチーズにハチミツをかけたやつ。

スージー:私はルッコラと生ハムのピッツァ。

cody:それ、こないだ食べたやつ?

スージー:そう。

cody:じゃあ一緒だ。こないだアー写を撮影した時に、スタッフさんがピザを頼んでくれたんですよ。その時に食べたルッコラと生ハムのピザが本当に美味しくて。今まではマルゲリータが一番好きだったんですけど、その時1位が変わりました。

──じゃあこの流れで、収録曲の中から推し曲を1曲だけ選ぶとしたら?

スージー:私の推しは「ラブシャッフル」ですね。男女混声バンドとして5年間やってきましたけど、男女で歌っている意味が一番ある曲ができたなと思っていて。最初から男女で歌うような構成になっているし、サビは1番は男性、2番は女性がそれぞれのキーで歌っているし。めちゃめちゃポップで、プラス男女混声の構成が活かされた、非常によくできた作品だと自画自賛できる1曲になりました。

──歌詞はどのようなことを考えながら書きましたか?

スージー:どちらかの一方的な気持ちを歌うんじゃなくて、歌いながら、お互いの凸凹を分かり合えるような曲にしたいなと思いながら書きました。“好きな人の過去に嫉妬しちゃったソング”と呼んでいるんですけど、それってあるあるだと思うし、相手になかなか伝えられない気持ちだとも思うので。それを歌詞に落とし込んだことで、お互いが思っていることを楽しく伝えられる曲になったんじゃないかなと。ぜひ恋人同士、パートナー同士で歌ってほしいですね。

◼️QUATTROでは笑顔を満開に咲かせられたら

──他のお三方は、1曲挙げるとしたら?

cody:俺は新曲の「MOKE MOKE」かな。

405:僕も「MOKE MOKE」です。

cody:デモを聴いた時から「ライブ絶対楽しそう」と思っていたんですよ。 やる側も楽しいだろうし、お客さんも絶対一緒に楽しめるだろうなという画がバンッと見えたので。早く形にしてリリースしたいなと思っていたし、デモの時から結構推してました。

405:ビートがすごく効いててノリやすい曲だと思うんですよね。ドラムもベースもカッコいいし。 歌詞は結構ハチャメチャだけど、恋愛の真理をついてる感じがして、それも僕的には推しポイントです。

スージー:実は、この曲の歌詞を書くきっかけを作ってくれたのは405なんですよ。

405:えっ? 初めて聞いたんだけど。

──相手の考えていることが分からなくて、イライラしたりモヤモヤしている様子を双方の目線から描いた曲ですが。

スージー:私が「聞いてよ、こういうことがあってさ」と話した時に、405から「でもそれって、こういうことでしょ? スージーは、こういうところがあるからさ」みたいなことを言われて、「……ハァ?」って思ったことがあったんです。私、ムカつくことがあったら、言われたこととか全部書き留めるようにしているんですよ(笑)。喧嘩って一番の刺激なので、その時に書き留めたものがそのまま歌詞になってます。だから405、ありがとう。

405:なんだそれ(笑)。

スージー:405から「でもさ」と言われると、「また始まった」って思うんですよね(笑)。ここ2人は付き合いも長いので、犬猿の仲であり、腐れ縁であり、親友なのかもしれません。

405:……。

むんちゃ:今、喜んでるでしょ?(笑)

405:喜んでない(笑)。

──この歌詞は面白いですよね。A~Bメロではひたすらモヤモヤ、イライラしているのに、サビに入った途端、「よく分からん!とりあえず踊ろう!」というテンションになる(笑)。

cody:そうなんです(笑)。タイトルがなんで「MOKE MOKE」なのかと言うと……このサビ、「モケモケラ」って聴こえるじゃないですか。だけど実は「MONKEY MONKEY LOVE」と歌ってるんですよ。それを英語っぽく歌ったら(やたらいい発音で)「MOKE MOKE LA」になる。アホみたいな理由なんですけど(笑)。

──そもそも「MONKEY MONKEY LOVE」はどこから出てきたんですか?

cody:人は恋をすると、脳みそがなんかチンパンジー並みになって、他のことを考えられなくなるという話を何かで聞いたことがあって。それがヒントになってます。確かに俺も、普段はそんな葛藤しないのに、恋愛のことになるとなんかイライラしちゃったり、言わなくていいことを言っちゃったり、言われちゃったりみたいなことがあるから、この曲に対しては「超わかるわ~」という共感もあったりして。

──歌詞はスージーさん、むんちゃさん、codyさんの共作ですね。

スージー:405がどうしても参加できなかった日に作った歌詞なので、3人のクレジットになってます。

むんちゃ:私、覚えてるよ。この歌詞を考えている時、スージーと「どうしよっか?」って喋ってたら「結局男と女って、脳みその作りが違うんだよ」「だって原始時代からさ」みたいな話になって。

スージー:「太古昔からね」とか言ってたのが、そのまま歌詞になってる(笑)。

むんちゃ:でも「MONKEY MONKEY LOVE」のところは、みんなで寝転んで3時間ぐらい悩んだよね。

cody:考えたねー。元々は違う歌詞が入ってたんですけど、なんかハマりが悪いなーって。

むんちゃ:いろいろ出したよね。

スージー:5音にハマる言葉をね。「泥まみれ」でもないし、「ラブラブしてる」も違うし……(笑)。

cody:「ラブラブしてる」あったなー(笑)。

むんちゃ:「ダサッ! それはどうなの?」って言ってた(笑)。

──むんちゃさんの推し曲は?

むんちゃ:私は「一糸まとわぬアイを見せてよ」ですかね。ドラマのオープニングに使ってもらった曲なので、すごく思い入れがあるし、作っている時のこともよく覚えています。池袋の西口のスタバでスージーと2人で喋りながら、歌詞を考えていたんですよ。「もうどこまでも行っていいよ」みたいに言われたから、発想が宇宙とか海底にまで行って、惑星の名前とかめっちゃ調べたりして(笑)。

スージー:愛とは何か、2人で考えたんだよね。

むんちゃ:そうそう。

cody:それで宇宙と深海?(笑)

むんちゃ:うん(笑)。そうやっていろいろ考えたのがすごく楽しかったですね。あと、そんな元気じゃない時にこの曲を聴いたら、体が自然と揺れたんですよ。私にとっては、流れてくると勝手に体が動いちゃうような曲なので、みんなにもそれを体感してほしいな。

──分かります。楽しい曲ですよね。

スージー:「完全にそれやろ」みたいなフレーズも入ってますけど、イメージの元になったのは、みんな大好きThe Jackson 5の「I Want You Back」「ABC」辺りですね。あれほど体が自然と動いてしまうようなビートってないなってくらい楽しいし、幸せなサウンドなので。

──今回のEP、全体の流れもいいですね。codyさんが最初に「“こういう一面もあるよ”というところまで見せられる内容になった」とおっしゃってましたが、それは4曲目の「ヤコウチュウ」についてですか?

cody:そうですね。俺は「ヤコウチュウ」がフックになっていると思っていて。ここでガラッと雰囲気が変わるんですよね。この曲があることで、「こういう一面もゴホウビは持ってるんだよ」としっかりアピールできるようなEPになったんじゃないかと。

スージー:「ヤコウチュウ」は一番正直に書けた曲だと思っています。クリエイトする上で、私は憧れや理想像をどうしても捨てきれなくて。だけど自分がそれになろうとすると火傷するし、それにはなれないんだと思い知らされる。現実を突きつけられるというか……普段は「そんな気にしてないよ」って笑っているとしても、やっぱり一人になると、夜な夜な考えて、つらくなったりもするんです。私が音楽をやり続ける中で感じていた光と闇を歌詞に書いた曲だから、多分、ここに入っていることにすごく意味がある曲だと思う。他の曲はわりとライトな気持ちでも聴けるし、「なんぼのもんじゃい」なんて本当に「なんぼのもんじゃい」と言ってるだけの曲だったりするんですけど(笑)、「ライブでも楽しめるように」というビジョンを持って作った曲もある中で、自己と向き合って書いた曲を名刺代わりのEPに入れられてよかったなと思います。「ヤコウチュウ」で一旦ディープな世界に来てもらったあとは、「一糸まとわぬアイを見せてよ」でまた楽しんでもらって。この緩急は「はい、どうぞ!」って送り出すような感じ。

cody:最後は「好きな服」がしっかり締めてくれるし、「ゴホウビはあったかいメッセージを届けたいバンドなんだよ」って伝えてくれる。

405:サブスクが流行ってる=単曲で聴く人も多いから、正直、曲の並びはそこまで気にしてない人も多いと思うんですよ。だけど僕らはライブのセトリを組む時も、頭から最後まで通しで観て、1つのストーリーを感じて帰ってもらえるようなステージを作ることを心がけているし、今回のEPも、6曲の中でストーリーを作って、曲順を考えていったので。そういう部分も感じてもらえたら嬉しいですね。

cody:そうだね。そういうところも含めて「これぞゴホウビ!」と言えるEPになったなと思ってますし、だからこそたくさんの人に届けたいです。

──このEPを聴いて、ゴホウビはJ-POPを志向しているバンドなんだなと改めて思いました。「Aメロ→Bメロ→サビ」というフォーマットやJ-POPの“定番”みたいなものを参照しながら、制約があるからこそ生まれる表現を面白がり、楽しんでいる。一方で今は、多くの人に楽曲を届けるためには、ショート動画の存在も無視できない時代じゃないですか。そこにもちゃんと対応しているというか、楽曲から一部を抜き出したとしてもハッとするような、瞬間のインパクトを持った表現だってたくさんある。誰に、どのように楽曲が届くイメージを持ちながら、制作に向き合っているのか、今改めて聞きたいなと思いました。

スージー:その辺りに対する考え方は今後変わっていくかもしれないんですけど……まず、私はTikTok大好きなんです。「なぜこれが流行っているのか」という理由を考えるのが好きなタイプなので、面白がって自分も投稿しているし、伸びなかったら伸びなかったで別に「あっ、これは違うんだ」「じゃあこういうのはどう?」というふうにラフな感じで向き合っているというか。そこまで深くは考えていないんですよね。

──ということは、「TikTokでバズるには」みたいなところを意識して、曲作りで大切にしていることを変えることはないと。

スージー:自分たちが面白いと思うことなら取り入れるのもアリだけど、流行に左右されすぎなくてもいいのかなって。で、誰に届けるのかという話ですけど……若くて才能のあるインフルエンサーの方ってたくさんいるので、私はいつも「本当にすごい!」と思いながらSNSを見ているんです。だけど、そうやって自分を表現できる人もいれば、「私には表現なんてできないし、SNSに何かを載せることもできない」という人もたくさんいるわけで。どう考えたってそういう人たちに届けるべきだなと、最近思ったんですよね。ゴホウビは“豆腐メンタル4人組”って自分たちで言っているくらいだし。「自信がないな」「しんどいな」って時に聴いたら少しでも癒されるように、と思いながらいつも曲を書いているので。

──SNSで活発に動いている人だけでなく、外からは見えにくいけど、確かに存在している層にも目を向けたいと。

スージー:はい。3月に「LIFE」という曲をTikTokに乗せたら、けっこう反響があったんですよ。「しんどかったけど少し楽になりました」というコメントをもらったんですけど、3月といえば学生さんにとっては春休みだから、休んでいる子もいれば、就活や受験で戦っている子もいる時期で、だからこそ届いたのかなと思っていて。流行り廃りのスピードは速いから、クリエイト側は翻弄されちゃいがちだけど、今まで通りでいいんだなと、その時思えたんです。

──はい。

スージー:先ほどおっしゃっていただいた通り、私たちはJ-POPが本当に大好きなんですよ。2000年初期のJ-POP全盛期に青春時代を過ごしていたので。例えば「ラブシャッフル」は私たちの世代にとってはちょっと懐かしい曲調で、同世代の人には懐かしさや温かさを感じてもらえると思うんですけど、若い世代の方にもちゃんと響いたんですよね、だから別にあんまり関係ないんだなって。人生は一度きりだし、自分たちが好きな音楽をやればいいんじゃないかなと最近は思っています。もちろんセールスのことも考える必要はありますけど、自分たちの根底まで変えてしまうような挑戦はもういいかなって。ゴホウビスタンダードが認められるまで、「私たちはこういう音楽やってます」というふうにひたすら打ち続ける。それ以外ないなと思ってます。

──最後に、渋谷CLUB QUATTRO公演に向けた意気込みをお願いいたします。

スージー:音楽の道を志した時から、デカバコでライブをすることにすごく憧れていました。QUATTROワンマンを決めた時、正直「いけるかな?」と思いました。この前、QUATTROにほかの人のライブを観に行って「ここでやるんだな」と思ったけど、今も不安はあります。だけど、やると決めたからには悩むのは不毛なので、楽しみながら乗り切りたいなと思います。これ以降の活動が全部繋がるように頑張って、QUATTROでは笑顔を満開に咲かせられたらと思っております。

cody:渋谷CLUB QUATTROでは前のバンドでもワンマンをやったことがあるんですけど、その時ソールドしなくて、めちゃめちゃ悔しい想いをしたんですよ。「次QUATTROでやることがあるなら絶対ソールドさせたい」と思っていたので、しっかり埋めたいです。ゴホウビでは今までも「次、QUATTROとか考えてみる?」という話が出ることがあって、ずっと「いや、まだちょっと……」と言っていたんですけど、「QUATTROを埋められたらきっと次の新しいステージが見えてくるから」と1年かけて挑戦することに決めました。一大決心だったし、本当に大事なライブなんです。今までで一番いいライブにします。

むんちゃ:埋めるのがなかなか難しいステージだということは分かっているんですけど、決めたからにはやらなきゃカッコ悪いじゃないですか。だからいっぱい来てもらえるように頑張ります。多分、QUATTROで観るゴホウビはめっちゃいいと思うので、いろいろな人に見てほしいですね。ずーっと応援してくれている“オトメン”(※ゴホウビファンの呼称)にも、スタッフさんとかゴホウビの活動に協力してくれている人たちにも、私たちが進んでいるところを見せたいし、当日は一緒にいい景色を見たいし、これからもずっと一緒に歩いて行きたい。その日はゴホウビ史上最高のライブをするってもう決めてるんです。だから、絶対に来てほしいです。

405:やるからには埋めたいし、埋めるために当日までいろいろな努力をしていくんですけど、仮に埋まらなかったとしても、いいライブにしたいですね。コロナが明けて、WWWやPLEASURE PLEASUREでのワンマンを経てすごく実感したんだけど……俺、結構ドライに見られがちだけど、やっぱりお客さんを目の前にしてライブをしていると、すごい熱くなるんだよね。

スージー:うん。

405:こういう光景を見られるから、俺たちは頑張れているんだなって思う。だから仮に埋まってなかったとしても、その時に来てくれたお客さんや自分たち自身の心に残るようなライブをやりたいなと思っています。

スージー:ええ話や。

405:来てくれる人がいるから俺たちも頑張れてるということを、コロナ禍を経てより実感した。自分たちのライブのためにお金を払って時間を割いて来てくれるなんて、すごく幸せなことじゃん。

スージー:うん、そうだよね。例えば、ライブハウス行くまでの道中で雨が降ってたら、 すごく寒いじゃん? 雨が振っていなかったとしても、開演まで待たされたりするわけで……それでもみんな嫌な顔一つせずに「本当に楽しかった!」ってうちらに言ってくれるんだよ。それってすっごく感謝じゃない?

405:うん。本当に。

スージー:私たちももちろん強い思いを持っているけど、観てくれる人も一人ひとりいろいろな想いを持ってくれているからね。それを忘れちゃダメだよね、うちらは。頑張ります!

取材・文◎蜂須賀ちなみ
写真◎TOYO

『GOHOBI QUATTRO -sweet-』

2024年4月3日(水)発売

・デラックス盤[CD+Blu-ray] *PCSC専売商品
5,500円(税込) SCCA-00157
[Blu-ray収録内容]
ライブ映像『ゴホウビ ONEMAN LIVE “Home Sweet Home!! Vol.1″』Live at Shibuya WWW 2023.5.11

▲デラックス盤ジャケット
・通常盤[CD ONLY]
2,420円(税込) PCCA-06285

▲通常盤ジャケット
トラックリスト
01. MOKE MOKE Music:スージー Lyrics:スージー / むんちゃ / cody
02. ラブシャッフル Music & Lyrics:スージー
03. なんぼのもんじゃい Music:スージー Lyrics:スージー / cody / 405
04. ヤコウチュウ Music & Lyrics:スージー
05. 一糸まとわぬアイを見せてよ Music:スージー Lyrics:スージー / むんちゃ / 405
06. 好きな服 Music:スージー / cody Lyrics:スージー

・販売店舗別オリジナル特典
Amazon.co.jp特典:メガジャケ
タワーレコード・TOWER mini全店・タワーレコードオンライン:ランダム2種缶バッジ
楽天ブックス特典:2L判ブロマイド
セブンネットショッピング:アクリルチャームミニキーホルダー
HMV,HMV&BOOKS:ポストカード

<GOHOBI ONEMAN LIVE「ゴホウビクアトロ全部のせ!」>

日程:2024年11月15日(金)
開場:18:15 / 開演:19:00
会場:渋谷CLUB QUATTRO

[チケット情報]
全自由:4,500円(ドリンク代別)

チケット2次先行
受付期間:4月3日(水)0:00〜4月21日(日)23:59まで
受付URL:https://eplus.jp/gohobi/

関連リンク

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