中東情勢緊迫化、円安・原油高がさらに進むか!?

●イランがイスラエルに報復攻撃 イラン革命防衛隊は13日、イスラエルの特定の標的に対し、無人機攻撃とミサイル発射を行ったと発表した。ロイター通信などが報じている。

イスラエルが4月1日に行った、在シリア大使館攻撃の報復と主張している。

イラン本土からイスラエルへの攻撃は初めてとなり、昨年から続くパレスチナ自治区ガザでの戦闘がさらに激化すると懸念される。

北海ブレント原油先物は一時1バレル=91.05ドルまで上昇し、WTIも一時1バレル=86ドルを超えた。

ドル円も1990年6月以来の1ドル=154円台にまで上昇し、米国株も日本株もリスクオフで大幅に下落した。

中東の緊迫化がさらなる円安・原油高に拍車をかけ、市場にも大きな悪影響を及ぼすのだろうか?

●イスラエルとイランのこれまでの動き 昨年10月から、パレスチナ自治区でイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が続いている。ハマスはイランが長年支援していると言われている。

3月25日に国連安保理で両者の停戦決議が採択されたが、イスラエルは米国の対応に不満を表明し戦闘を停止するそぶりはなかった。

イスラエルは停戦決議採択後の3月29日にシリアを空爆し、イスラム組織ヒズボラのメンバーを殺害。4月1日には今回報復のきっかけとなった在シリアイラン大使館を攻撃し、イラン革命防衛隊の司令官を殺害した。

イランの最高指導者ハメネイ師は報復を示唆する一方、抑制的な態度を取ると見られていた。イスラエルは大半の攻撃を撃墜したと見られ、被害は限定的と見られている。

イスラエルのネタニヤフ首相は、「我々に危害を加える者には誰であろうと反撃する」と報復を示唆している。

●鍵を握る米国!?さらなるインフレも懸念 米国バイデン大統領はイスラエルの報復攻撃には不参加を表明しており、イスラエルにも自制を求めている。

一方で、イスラエルの安全には「揺るぎない関与」を約束するなど、状況によっては参加せざるを得ないとも取れる。

原油供給への不安が渦巻いているが、今のところWTIが1バレル=90ドルまで上昇する兆候はなく、まだまだ様子見の面が強いかもしれない。

ただ、原油の高止まりとドル・金(ゴールド)が買われることが予想され、金利政策の差から円安も進みそうだ。

インフレの鎮静化も遠のいた印象で、FRBの利下げも難しくなり、さらにリスクオフが意識された株安にも警戒が必要だ。

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