「清閑亭」で無許可営業 小田原市が第三者委設置を拒否 庭園も立ち入れぬ状態

小田原市が維持管理費を出しながら自由に立ち入れない状態となっている清閑亭の庭園=2021年3月

 小田原市所有の国登録有形文化財の「清閑亭」(同市南町)で飲食店を運営する民間業者が無許可営業で県から行政指導を受けた問題を巡る議論が16日の市議会厚生文教常任委員会で行われた。複数の市議が「業者選定のプロセスがずさん」として市に第三者委員会による調査を求めたが、市側は拒否。さらに庭園の維持管理費が市の負担にもかかわらず、庭に続く門が業者に閉め切られるなど実質的に自由に立ち入りできない状態であることにも苦言があった。

 市は3月、清閑亭を相場より安い年間240万円で民間業者と10年間の賃貸借契約を結んだ。主屋の修繕費などを業者負担、庭園の維持費約200万円は市が賃料収入から捻出すると決めた。

 2022年まで続いた一般公開では清閑亭の建物や庭園に無料で自由に立ち入りできたが、現在は庭園に続く道に業者が門と柵を設置し入場を制限。主屋1階では飲食店が営業されており、市は「庭園と2階を見学する場合はスタッフに声かけが必要」と呼びかけているが、見学方法を説明する案内看板などはない。

 この日の常任委で井上昌彦氏(維新の会・次世代おだわら)が「庭園の門が施錠され、スタッフを呼んでもなかなか出てこないので帰ってしまう観光客もいた。日中だけでも自由に立ち入りできるようすべき」と注文。格安の賃料について城戸佐和子氏(志民の会)は「庭園の維持費もあって市にとって利益がない状態。収益額に応じた賃料を検討すべきだ」と提案した。

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