“ハコ”を転がして敵と戦え!頭脳プレイも力押しもできる絶妙な難易度のパズルゲーム「ハココロV」をレビュー

2024年4月4日よりNintendo Switch向けに配信中のパズルゲーム「ハココロV」のレビューをお届けする。

■“ハコ”を転がして魔法玉を取る。シンプルながら奥深いシステム

本作のシステムはいたってシンプル。マス目状に区切られたフィールドで“ハコ”を転がしながら、周囲に落ちているアイテムを開いた口に入れて攻撃をくり出し、各ステージに存在する敵をすべて倒していくというものだ。求められる動作は上下左右への移動くらいで、これ以上削ぎ落とせないレベルに簡潔でわかりやすい。

主人公のアミィ。幼いころに出会った魔法使いに憧れ、自分も魔法使いになるために“ハココロ”の試験に挑む

取れるアイテムもさまざまだが、とくに重要なのが“魔法玉”。これをハコの口に入れると魔法が発動し、直前にハコを動かした方向に向かって特定の攻撃をくり出す。前にハコを転がして魔法玉を取ると魔法も前に、逆に後ろに動きながら取れば魔法も後ろへ放たれる。

十字に伸びる“赤”や周囲に広がる“黄”など、魔法玉の色に応じてさまざまな魔法の種類がある。なお、ハコを直接ぶつけても敵にダメージは与えられないので、本作ではこの魔法玉を介して攻撃するのが前提だ。

魔法玉のほかにも、プレイヤーの体力を回復したり周囲の魔法玉を吸い寄せたりするタイプのアイテムも存在する

ハコの口にアイテムを入れるというシステムはシンプルだが、使いこなすにはそれなりに慣れがいる。まず、ハコは移動方向に応じて転がるため、アイテムを入れるための口も逐一動いていく。目当てのアイテムを取るためには、隣り合った際に口が真横に来るように動く必要があるため、考えなしにハコを転がしているだけでは一向にうまくいかない。

目的の場所に行くために必要な回転数を逆算し、ちょうど最後に口がアイテムに隣り合うようハコの向きを調整するわけだ。

さらに、せっかく魔法玉を口に入れても、発動した魔法の攻撃範囲に敵がいなければ無駄になる。敵の位置と魔法玉を口に入れるタイミングを合わせるのがコツで、アイテムとハコの口の位置を同時に考えていて攻略していると、頭が混乱して序盤のステージでも苦戦しやすい。

本作では各ステージに120秒の制限時間があるため、ハコの口とアイテムの位置についてあまりにも考え込んでいるとゲームオーバーになりかねず、そのため基本的にハコを動かしながら対策を考えることになる。

幸い、ハコを転がすシステムは限りなくシンプルなおかげで、口にアイテムを入れる操作に集中しやすい。本作はアミィが大魔法使いになるための修行を描いた「ストーリーモード」のほかに、ひたすらステージをクリアし続ける「とことんモード」もあり、くり返し練習しやすいよう計られている。

120秒という制限時間こそあるが、裏を返せばひとつあたりのステージは2分程度でクリアできるのでテンポも良い。失敗を恐れず、とにかく挑んでみるのが上達の近道だろう。

■やり応えのある難易度設定であると同時に、力押しが効く易しい部分も

パズルゲームとして難しいところを書いてきたが、いっぽうで力押しが効く場面も多い。魔法玉などのアイテムはハコの口に入れなければならないのは確かだが、要は口に入るならそれでいいわけだ。

口と魔法玉の位置がギリギリで噛み合わないのなら、そのままハコで魔法玉を弾き飛ばして口を傾け、壁や障害物に当たって跳ね返ってきた魔法玉をそこに入れてしまえばいい。また、魔法玉は基本的に空から降ってくるので、落ちてくる場所で口を上に向けたまま待ち、野球ボールをグローブで掴むような要領で手に入れてもいい。あるいはバウンドしているところに滑り込んで無理やり取ってしまう方法もある。

なお、落ちてきた魔法玉を取ると“ナイスキャッチ”となり、直後に発動する魔法の範囲が全方位に変化。使う魔法の範囲を広げる“魔法レベル”も上昇する。ハコを動かすタイミングや魔法玉の挙動にうまく口を合わせる判断など、ハコの動かし方次第でも状況を打破できる可能性があり、本作はパズルゲームでありながらアクションとしての側面も併せ持っている。

ほかにも狙った魔法玉がどうしても取れないなら、いっそステージ外に吹っ飛ばして新しいものが代わりに降ってくるのを待つこともできる。

魔法玉を使った攻撃がなかなか敵に当てられない場合は、魔法を使った後に地面に口を付けると張れる“魔法陣”を活用すればいい。発動した魔法が魔法陣に触れると、魔法陣から専用の魔法が発動して広範囲を巻き込める。ひとまず魔法を乱発して魔法陣をそこら中に展開し、その後魔法陣に魔法を当てれば、設置した魔法陣が次々に連鎖してくれる。

ハコの口に加えて、魔法玉や敵の位置など考えることは多いものの、魔法玉を動かして無理やり口に入れる、複数の魔法陣で広範囲をまとめて攻撃するといった力押しが効くのも事実で、感覚だけを頼りに遊んでも結構クリアできたりする。

とはいえ、直感的な方法だけでは安定せず、とくにHPゲージを削り切らなくてはならないボスには苦戦しやすい。あくまでもハコの口を自在に調整できるようになるのがクリアするためのもっとも堅実な方法であり、そこはパズルゲームとしてバランスがしっかり取れているという印象だ。

ハコの口にアイテムが来るよう考えながら敵と戦う本格的なパズル要素に加え、魔法玉の方を動かしてハコの口に入れるという力押しとも言えるテクニックも通用するなど、「ハココロV」はかんたん過ぎず難し過ぎない、ちょうどいいバランスが取れている作品だ。

2分の制限時間があるために、ひとつひとつのステージもテンポよく進められるため、ミニゲーム感覚で遊べる手軽さも良い。パズルやアクションが得意な人はもちろん、空いた時間でサクッとプレイしたい人にもオススメの一作だ。

(C) 2024 AMZY Co., Ltd.


© 株式会社イクセル