パーフェクトディフェンスの小久保玲央ブライアン。中国戦で劣勢の日本を救ったのはこの守護神だ【U-23アジア杯/コラム】

2024年4月16日、カタールで開催されているU-23アジアカップのグループステージ初戦でU-23中国代表と対戦したU-23日本代表は1-0と勝利した。

立ち上がりから押し込んだ日本は9分に先制。山田楓喜の鋭いクロスに合わせた松木玖生のゴールでリードを奪うが、17分にCB西尾隆矢をレッドカードで失う。10人となり、インサイドハーフの山本理仁に代えてCBの木村誠二を投入してからは劣勢を強いられたものの、4-4-1システムで2ブロックを敷いて中国の攻撃を凌いだ。

多くの時間帯を数的不利な状況で戦った影響で、前半からいくつもピンチがあった。それでもどうにか1-0で逃げ切れたのは、何よりGK小久保玲央ブライアンの貢献が大きかったからだろう。47分のビッグセーブをはじめ近距離のシュートを上手くブロックし、さらに敵コーナーキックへの対応も素晴らしく、パーフェクトディフェンスを披露したと言っても大袈裟ではない。

特に目を見張ったのはパンチングの技術だ。目の前に弾くようなミスはなく、受け流すようなセービングでボールを“殺していた”。最悪なのは下手なパンチングで相手にこぼれ球を拾われるケースであり、それがほとんど見当たらなかった点で小久保の働きは評価できたのだ。劣勢の日本を救ったのは文字通りこの守護神である。

フィールドプレーヤーでは松木のパフォーマンスが光った。インサイドーハーフでスタートさせながらも、西尾の退場で前半途中からボランチを担当。ポジション変更への戸惑いは全くなく(FC東京ではインサイドハーフもボランチも経験済み)、攻守両面に首尾よく顔を出していた。

松木の闘志に引っ張られるかのように、同じボランチの藤田譲瑠チマ、途中出場で左サイドハーフを担った佐藤恵允も躍動。チームにエネルギーをもたらした点でも、松木の仕事ぶりは見事だった。

苦しみながらもグループステージ初戦で白星を飾ったのは大きい。中国の拙攻に助けられた部分があったとはいえ、17分で10人になるアクシデントを乗り越えて勝利を掴んだ経験がチームの成長に繋がることを信じたい。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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