モルガンS、第1四半期利益が予想上回る 投資銀行業務が回復

Tatiana Bautzer Manya Saini

[16日 ロイター] - 米金融大手モルガン・スタンレーが16日に発表した第1・四半期決算は利益が予想を上回った。投資銀行業務の回復と資産管理業務の伸びが寄与した。これを受け株価は2.5%上昇した。

投資銀行部門の収入は前年同期比16%増加。債券発行の増加を背景に債券引き受けが2四半期連続で好調だった。ウェルスマネジメント部門も顧客資産の急増の恩恵を受けた。

オッペンハイマーのアナリスト、クリス・コトウスキー氏はメモで「全体的に素晴らしい四半期だった」と評価。前日に決算を発表したゴールドマン・サックスと同様にほぼ完璧な内容だったとした。

第1・四半期の1株利益は2.02ドルと、アナリストの平均予想(1.66ドル)を上回った。総収入は前年同期の145億ドルから151億4000万ドルに増加した。

ただ、投資銀行部門の収入の伸びは競合他社を下回った。シャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)は、これは規制当局の承認を必要とするM&A(企業の合併・買収)に関するアドバイザリー収入に起因すると指摘。一方で、急騰する株式市場と注目を集める新規株式公開(IPO)が投資銀行業務の活発化につながる可能性があるとした。

また、テッド・ピック最高経営責任者(CEO)は、顧客全体にわたりM&Aと引き受け業務の双方において「投資銀行業務の勢いが高まっている」と述べた。

地政学リスクが案件を支援する可能性に言及し、2つの大きな紛争がサプライチェーン(供給網)に混乱をもたらしていることなどから、一部の企業は国際的な事業拠点のシフトが必要になると指摘。

「米経済成長が続く一方、中国のほか欧州の一部で景気が減速していることは、人々が米国へのエクスポージャーをさらに拡大したがっていることを示す」と語った。

投資銀行業務や株式・債券関連業務を担う機関投資家向け証券部門の総収入は、前年同期の68億ドルから70億ドルに増加。債券トレーディング収入は4%減少したが、株式トレーディング収入は4%増加した。

ウェルスマネジメント部門の収入は前年同期の66億ドルから69億ドルに増加。資産純流入額は950億ドルで、約半分がファミリーオフィスからだった。

ウェルスマネジメント部門は見込み客の身元や資金源、金融活動について十分に審査したかを巡り、複数の米規制当局による調査を受けていると報じられている。

ピックCEOは調査に間接的に言及し、顧客の審査は「新しい問題ではない」と指摘。「われわれはかなりの期間、顧客の審査と監視プロセスに注力してきた。他の大手銀行と同様に規制当局と継続的なコミュニケーションを取っている」と述べた。

イェシャヤCFOは、当局の調査がウェルスマネジメント業務の戦略的な変更につながることはないとした。

投資管理部門の収入は前年同期の13億ドルから14億ドルに増加した。

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