【カンボジア】24年成長率、5.8%と予測=アジア開銀[経済]

アジア開発銀行(ADB)はこのほど発表した報告書「アジア経済見通し」で、カンボジアの2024年の国内総生産(GDP)成長率を5.8%と予測した。25年は6.0%になると見通した。

24年の経済成長は、同国の主力製品である縫製品・履物・旅行用品の輸出拡大がけん引すると予想。工業製品全体の生産高が24年に前年比8.0%、25年に同8.4%それぞれ成長するとの見方を示した。

東南アジアなどからの旅行者の増加に伴い、観光業も成長すると分析。サービス部門全体の成長率が、24年に5.4%、25年に5.2%になると予想した。

農業は、成長率が24年に1.3%、25年に1.4%となると予測した。中国や韓国、アラブ首長国連邦(UAE)との自由貿易協定(FTA)、地域的な包括的経済連携(RCEP)の発効に伴い、今後も成長が続くとしている。

不動産業の成長は低水準にとどまると予想した。中国の不動産部門の低迷が影響するとみている。

インフレ率は、燃油の国際価格が安定して推移するとの前提で、24年、25年ともに2.0%と予想した。

今後の経済成長の下押し要因として、米国や欧州、中国などの経済成長の減速、エネルギー価格の上昇、異常気象などを挙げた。

ADBは、カンボジアが29年を目標とする後発発展途上国(LDC)からの卒業に向けて、FTAの締結国・地域の拡大、新市場の開拓、高付加価値製品の投入などを加速させるべきだと指摘。長期的な成長維持に向け、人材育成、気候変動への耐性を備えたインフラ整備、中小零細企業を成長させる事業環境の整備などが重要だと述べた。

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