手に結束バンド、顔に粘着テープ 那須の河川敷に2人の焼損遺体、殺人か 近くの道路から「何かを引きずったような跡」

2人の遺体が見つかった現場近くを調べる捜査員ら=16日午後4時30分、那須町伊王野

 16日午前6時50分ごろ、栃木県那須町伊王野の河川敷で、車で通りかかった男性がマネキンのようなものが燃えているのを発見し、関係者を通じて那須塩原署に通報した。同署員が駆け付け、2人の焼損遺体を発見した。1人の身元は成人男性。県警は同日、死体遺棄事件と断定し、那須塩原署に約80人態勢の捜査本部を設置した。捜査関係者によると、遺体の手は結束バンドで縛られた状態で、顔に袋のようなものをかぶせられ、その上から粘着テープが巻かれていた。県警は殺人事件の可能性も視野に捜査している。

 死亡したのは住所、職業不詳の男性(55)。捜査本部によると、遺体はともに体全体が焼損していた。司法解剖などを経て死因の特定や、もう一人の身元の確認を急いでいる。

 捜査関係者などによると、遺体は重なった状態で倒れていた。男性のほか、もう1人は女性とみられる。近くにガソリンの携行缶のような容器があり、油のようなものをまかれて火を付けられた可能性がある。

 近くの道路から遺体が見つかった河川敷までは、何かを引きずったような跡があった。車などから降ろし、運んで遺棄した疑いがあるとみられる。

 第1発見者の男性(55)は同日早朝、仕事で現場付近を車で走行中に何かが燃えているのを発見し、近くの知人男性(37)に連絡した。この男性が現場を確認した上で、午前8時10分ごろ、「マネキンのようなものが燃えている」と同署伊王野駐在所を来所し、通報した。

 通報した男性は下野新聞社の取材に対し、「マネキンのようなものが十字に重なるようにして倒れていた。ビニール袋をかぶせられ、ガムテープでぐるぐる巻きにされていた。足元にガソリンの携行缶があった。成人で、身長160~170センチくらいだと思う」と話した。

 現場は、那須町の中心部から約10キロ南東の山間部で、住宅が点在する地域。付近にはゴルフ場やリゾートホテルなどがある。

2人の焼損遺体が見つかった現場

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