持ち運び可能の浴室完成 輪島・門前の自主避難所

避難者向けに整備された可動式浴室棟=輪島市門前町江崎

 今も避難を続ける人たちに気軽に入浴してもらおうと、持ち運び可能な浴室が輪島市門前町江崎の自主避難所に完成した。合板や発泡スチロールなどを使い、2週間ほどで整備された。市内では水道が復旧していない住宅が少なくなく、喜びの声が上がった。

 輪島市で仮設住宅の建設に取り組む建築士、小山公紀さん(66)=札幌市=が建設した。合板や発泡スチロールで作った壁などに防水機能のある繊維強化プラスチック(FRP)を吹き付けた。広さ5平方メートル、高さ2メートルほどで湯船に250リットルほど入る。

 浴室棟の外にまき用の燃焼器が取り付けられており、倒壊した住宅の木材なども活用して湯を沸かすという。天井部分に水をためて太陽光で熱することもできる。材料費は約50万円で、クレーン付きトラックで移動できる。

 この自主避難所では5人が暮らしており、これまで自衛隊が設営する仮設風呂まで出掛けたり、自分たちで大量の湯を沸かして被災家屋から持ち出した浴槽に入れたりして入浴していた。小山さんは「避難者も風呂に入って癒やされてほしい」と話した。

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