富山で開発製造強化 半導体製造装置のコクサイエレクトリック 砺波工場9月完成、生産倍増

開発機能が強化される富山事業所=富山市八尾町

  ●八尾の事業所開発1.5倍

 富山県内に製造拠点を持つ半導体製造装置メーカー「KOKUSAI ELECTRIC(コクサイ エレクトリック、KE社)」(東京)が、砺波市で整備を進める新工場が9月に完成することが16日、同社への取材で分かった。生産能力の倍増を見込む。富山市八尾町の富山事業所の一部生産ラインを砺波に移し、同事業所の開発機能を1.5倍に増強する。富山で開発・製造を強化し、AI(人工知能)の進化に伴う世界的な半導体需要の高まりに対応する。

 KE社は半導体の製造工程のうち、電子回路の形成に必要な薄い膜をつける「成膜」と、成膜後に熱やプラズマで膜質を改善する「トリートメント」を手掛ける装置を開発・製造しており、世界トップクラスのシェアを誇る。

 砺波の新工場「砺波事業所(仮称)」は北陸自動車道高岡砺波スマートインターチェンジ(IC)前のスマートインター柳瀬工業団地に位置し、敷地面積約4万平方メートルで建屋は3階建て。同社が約240億円を投じて整備を進めている。新工場が完成すると生産能力は2021年3月期に比べて26年3月期に倍増すると見込む。

 富山事業所は敷地面積約10万平方メートルで1989(平成元)年、富山市八尾町の富山八尾中核工業団地の一角に完成した。砺波の新工場の完成に合わせて新しい検査装置などを導入し、研究開発と新規の装置の製造を担う。開発能力は21年3月期に比べて26年3月期に1.5倍に拡大する。

 県内に2カ所の拠点を構えることで、不測の事態が生じた時のバックアップ機能を相互に担う。

 ★KOKUSAI ELECTRIC 旧日立製作所系の半導体製造装置メーカー。1949年に国際電気として創業。2000年に合併で日立国際電気となり、2018年に分社化でKOKUSAI ELECTRICとなった。資本金約100億円。2023年3月期の連結売上収益は2457億円。東証プライム。

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