月々の返済額、柔軟に設定 中小企業庁、被災事業者に

  ●保証制度の運用見直し

 能登半島地震で被災した中小零細事業者向けに、中小企業庁が月々の返済額を柔軟に設定できる保証制度の枠組みをつくることが16日、分かった。毎月一定額としている現行ルールを見直し、少額で返済を始めた後、事業が軌道に乗った段階でまとめて返済することも可能となる。再建までに長い期間を要する事業者の負担軽減が狙いで、利用に必要な事業再生計画の策定は石川県信用保証協会や金融機関が支援する。

 保証制度では、最大5年間にわたって元金返済を猶予し、その後は事業者の被災状況に応じて柔軟な返済方法が可能となる。保証期間は最長の15年に設定する。既存の「経営改善サポート保証」の運用を見直して適用する。

 地震で壊滅的な被害を受けた能登地区では、事業立て直しのめどが立たない中小零細事業者もおり、「あきらめ廃業」の増加が懸念されている。事業者の減少は産業の衰退や人口減に直結することから、小規模事業者でも利用しやすい保証制度を見直し、資金繰りの面から経営をサポートすることにした。

 制度を利用する際に必要な経営改善・事業再生計画については、県信用保証協会が能登産業復興相談センターや金融機関などと連携しながら策定のサポートに当たる。中小企業庁の保証制度だけでなく、国や県、地域金融機関などが共同で設立した「復興支援ファンド」の活用を含め、最適な選択肢を助言する。

 保証制度の柔軟な運用については、自民党中小企業・小規模事業者政策調査会長の伊藤達也元金融担当相が、中小企業庁に要望していた。15日、伊藤氏は視察先の七尾市内で北國新聞社の取材に対し「再建までに長期間を要する個人事業主に対し、債務負担の軽減や資金確保の支援につながる」と述べた。

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