提供の私有地、住民手作り通学路 宝達志水の危険交差点に

住民の手によって整備された歩道を通る児童=宝達志水町子浦

  ●見守り隊員発案 児童安心の笑顔

 宝達志水町子浦(しお)の町道交差点で、住民の手による「通学路」が完成した。道幅が狭い上に車の交通量が多く、事故の発生が心配されている交差点。地元の見守り隊員が「何かあってからでは遅い」と道路に隣接する土地の所有者と話し合い、敷地内に専用歩道を整備した。地域の大人が用意した「思いやりの道」は新学期から供用されており、児童と隊員らが笑顔であいさつする交流スポットにもなっている。

 整備されたのは子浦と吉野屋の境を通る町道で、信号機のない変形5差路の一角。志雄小の通学路になっているが、交差点付近の幅は約4メートルしかない。電柱も立っているため車が歩行者と擦れ違うのは難しく、登校時には「志雄小子ども見守りたい」の隊員が子どもたちに注意を促している。

 住民側は町に対策を求めているが、なかなか前に進まないことから、この場所で活動する隊員の葉佐正行さん(76)=吉野屋=らが子浦区長の横川清さん(60)と相談。道路脇の空き地に歩道を設けようと、昨年秋に地主の美作(みまさく)多加志さん(66)=子浦=に貸し出しを打診したところ快諾され、土地の提供を受けた。

 約500平方メートルの空き地は子浦区の所有となり、整備を任された葉佐さんが砂利を敷いて37メートルの歩道を整えた。歩道との間には臨時の柵を設け、花のプランターで季節の彩りも添えた。16日朝は交通安全の旗を持った隊員たちが見守る中、児童らが広い歩道を進み、互いに「おはようございます」「気を付けて」と声を掛け合った。

 葉佐さんは「いつ事故が起こるか分からない状況だったので、新学期に間に合うよう頑張った。地域の宝である子どもたちの安全に努めたい」と目を細めた。横川さんも「区内の安心安全につながり、ありがたい」と土地の提供に感謝。美作さんは「子どもたちの役に立てて、喜んでもらえてうれしい」と話した。

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