【U―23】武田修宏氏が技ありボレーの松木玖生、守護神・小久保玲央ブライアンを〝レジェンド級〟と称賛

松木玖生(左)と小久保玲央ブライアン

〝レジェンド級〟の活躍だ。U―23日本代表が16日に行われたパリ五輪アジア最終予選を兼ねるU―23アジアカップ(カタール)1次リーグ初戦の中国戦で、退場者を出しながらも1―0と勝ち切った。先制点を挙げたMF松木玖生(20=FC東京)と、好セーブを連発したGK小久保玲央ブライアン(23=ベンフィカ)が躍動。元日本代表FW武田修宏氏(56=本紙評論家)は2人の将来性を含めて高く評価した。

日本は前半8分、右サイドからMF山田楓喜(22=東京V)が上げたクロスに松木が左足の技ありボレーで合わせて先制。松木は「憧れの選手なので」というイングランド代表MFフィル・フォーデン(マンチェスター・シティー)の〝スナイパー〟パフォーマンスを披露した。

しかし、同17分にまさかの事態が発生。守備の要のDF西尾隆矢(22=C大阪)が、相手選手に左腕でヒジ打ちして一発退場。1人少ない劣勢の展開を強いられた。

そんな窮地でチームを救ったのが、守護神の小久保だ。同42分にFWベイヘラムの強烈ヘッドを好セーブ。後半2分には、完全に抜け出した相手と1対1のピンチを迎えるも抜群の反応でシュートをストップした。中国のミドルシュートやロングボールにも冷静に対応し、見事に完封した。

武田氏は決勝点を奪い、10人となった後も攻守で奮闘した松木を称賛。「松木はもうチームの軸、中心だ。点を取ったり、チームが苦しい時に時間をつくったりして、彼はまさにこのチームを引っ張る存在」と絶大な貢献を高く評価した。今後のA代表入りにも期待しながら「前の(アトランタ)五輪の時の中田英寿みたいな感じになるんじゃないか。それくらい中心的な選手だと思う」。五輪で活躍し、その後にA代表の絶対的なエースへと飛躍した中田氏の姿を重ね合わせた。

「松木と(藤田譲瑠)チマ(22=シントトロイデン)の2人がチームのかじ取りをしていくことになる」と中盤を担うコンビに大岩ジャパンの先導役を期待した。

そして忘れてはならないのが小久保だ。「安定感もあるし、今日は10人になった中でも落ち着いて試合を運べていた。ワンバウンドのヘディングも対応が難しいが、冷静に処理していた」と守護神としての能力を強調。「日本が上に行くときは歴史を見ても、GKの活躍がある。アトランタの(川口)能活もそうだし、小久保にも期待したい」と今後のさらなる堅守を予想した。

武田氏はこの3人をチームの軸としつつ、国際舞台では新星の登場が必要とみる。「短期決戦はラッキーボーイみたいな選手が出るといい。藤尾(翔太=22、町田)が活躍してくれるんじゃないか。細谷(真大=22、柏)も1点のキッカケで乗ってほしい」。エースの細谷の復活に加え、今季J1で躍進する町田で絶好調の藤尾がブレークすると太鼓判を押す。

試合後、松木は「勝負強さが出たかな」と自画自賛。「初戦で点数を決められてよかったし、この大会は出場した全試合で決めようと思っている」と豪語した。頼もしい逸材たちが、日本に8大会連続の五輪切符をもたらすか。

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