乙武氏に凸する候補、露骨な立憲潰し発言も…9人乱立の東京15区補選は空前のカオス

根本氏と対峙する乙武氏

〝仁義なき江東区の戦い〟に突入した。衆院東京15区補選(28日投開票)が16日告示された。9人が乱立する選挙戦では他陣営への批判が次々と飛び出し、初日から一触即発の〝カオス〟となっている。

政治とカネの問題で揺れる自民党の公認候補が立候補しなかった中、批判の矛先が向けられたのは自民党が当初推薦に乗り出そうとした乙武洋匡氏だ。

日本保守党の飯山陽氏は第一声で、乙武氏が13日にSNSに投稿した街頭演説会の写真に対し「『街宣車の上から見る景色』というふうに表現した。ファーストの会の副代表でありながら、無所属だと皆さんに偽って表現している方。自分の話を聞きに来てくださった人たちのことを〝景色〟と呼んだ。人を見て、景色なんて言う人に日本の政治を任せていいはずがない」と声を張り上げた。

つばさの党の根本良輔氏は乙武氏に対し、直接行動に出た。JR亀戸駅前で小池氏も参加した街頭演説会で、根本氏は乙武氏に女性スキャンダル、小池氏に学歴詐称騒動を直接質問する凸に出た。両陣営から怒号が飛び交ったが、小池氏は淡々と演説。午後に行われた演説会でも再び根本氏は凸したが、乙武氏陣営はスピーカーの音量を大幅に上げて対策。根本氏は期間中、乙武氏以外の陣営にも凸を予告していて、平穏に済みそうにはない。

乙武氏も負けていない。この日夜に行われたネット討論会に立憲の酒井菜摘氏だけが欠席したことに「共産党さんが支援して、〝立憲共産党〟と揶揄されている中で、憲法や外交、安全保障の話をどうするのかは多くの有権者が知りたかった。調整つかなかったというが、逃げたと思われても仕方がない」と批判した。

酒井氏は事前の情勢調査でリードが伝えられているとあって、維新も敵意をむき出しにした。馬場伸幸代表は同党の金沢結衣氏の応援演説で、「立憲に野党第1党の資格はない。立憲には投票しないでください」と酒井氏に投票しないよう異例の呼びかけに出た。

批判合戦には自制を求める声も出ているが、有権者へのアピールの側面もある。スキを見せれば足元をすくわれるのが選挙戦で、各陣営はますますヒートアップしそうだ。

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