「転勤で給与減った」国を訴えた裁判官 TBSサンモニ出演を夢見る〝有名人〟だった

名古屋地裁に提訴予定だ

転勤で地域手当が減額となったことで給与も実質的に減額となったことは憲法違反だとして現役の裁判官が国を訴えると表明した。この裁判官は実名でブログを開設する有名人だった。

津地裁の竹内浩史裁判官(61)が16日に会見し、5月にも名古屋地裁に提訴する意向を示した。裁判官の報酬については憲法第80条2項に「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない」と書かれている。

竹内氏は大阪と名古屋の高裁で勤務し、2021年から津地裁へ赴任。地域手当が減額され、給与が減ったと主張。これが憲法違反だとし、21年から23年の減額分約240万円の支給と国家賠償を求めるという。現役の裁判官が国を訴えるのは異例のこと。争点は地域手当が裁判官の報酬に含まれるかどうかとなる。

国家公務員の地域手当は勤務地の民間企業の給与水準に合わせるもので、東京など都市部は高く、地方は少ない額で設定されている。都市部から地方に転勤となれば給与は下がるわけで、竹内氏は会見で「地方を回る裁判官の不利益が大きい。全裁判官の先頭に立って戦いたい」と述べている。

竹内氏は実名でブログを開設するなど、法曹界では知られた人物だったという。最近のブログでは同じく実名でSNS投稿をし、先日の弾劾裁判で罷免となった岡口基一氏についても言及。弾劾裁判では竹内氏が弁護側証人として出廷し、裁判官のSNS利用に前向きな証言をしていた。

3月には「退官したなら『解説者』して『喝!』と『あっぱれ!』してみたい」(原文ママ)とのタイトルの記事を更新し、TBS系「サンデーモーニング」への出演が夢と記述していた。

法曹関係者は「竹内氏は最初から裁判官だったわけではなく、弁護士を経験して弁護士任官制度で裁判官になっています。社会を知っているので、慣例に縛られず疑問や矛盾を感じやすかったのでしょう」と指摘した。

報酬にかかわるだけに裁判官たちの注目度は高そうだ。

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