イスラエルとイランの直接対決 民意に押されてエスカレートなら「核」の危険

イスラエルのネタニヤフ首相(ロイター)

イスラエルは15日、イランの攻撃に反撃する意向を示した。軍のハレビ参謀総長は「相応の措置を取る」と述べた。戦時内閣はイランに対する報復に賛成しているが、時期や規模については意見が分かれているという。

不倶戴天の敵同士だけに激化は避けられず、中東全体を巻き込む本格的な戦争につながる可能性があることを世界が懸念している。

イランの攻撃は、シリアのイラン大使館をイスラエルが攻撃したと発表したことがきっかけとなった。一方、イランの攻撃は事前通告があった上に、無人機とミサイルはイスラエルが「99%」を迎撃できるもので、被害は小規模にとどまった。また、米政府は反撃を支持しない意向を示している。そのため、反撃はするが、限定的な対応を取るとの見方が出ている。

軍事事情通は「イラン政府は戦争になるようなことはしたくないのが本音でしたが、軍や国民に示しがつかないのでドローンとミサイルを撃ちました。明らかに迎撃できるスピードで被害が出ない場所でした。この意をくんだネタニヤフ首相も報復を限定的にしたい意向ですが、やはり国内向けに弱腰の姿勢を見せることはできません。ただ、ミサイルを撃てば、緊張感が高まることは確かで、その後のやり取り次第では全面戦争に発展しかねません」と指摘する。

イランは、反イスラエルの急先鋒であるイエメンのフーシ派やガザのハマス、レバノンのヒズボラなどの後ろ盾といわれている。イランは〝聖地エルサレムを奪った敵〟としてイスラエルを見ているからだ。

その両国が初めて直接、武力攻撃を始めたのだから、世界が緊張感をもって見守っている。しかも、イスラエルは核兵器保有国で、イランは核兵器を持とうとしている国といわれている。

「イランの兵器級ウランの開発は順調に進展しており、理論的には数か月以内に核兵器を保有できる可能性があります」と前出事情通。

あまりに危険な状況だ。イスラエルメディア「ワラ」によると、イスラエルの報復としては、イランの軍事基地への攻撃、核施設への攻撃、インフラへのサイバー攻撃、そしてフーシ派やヒズボラの幹部の暗殺などが想定されるという。

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