大成建設/次世代技研研究管理棟がBELS最高評価とZEB認証取得

大成建設が埼玉県幸手市に建設している同社グループの次世代技術研究所研究管理棟が、2月27日付で国の建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の5段階中最高評価とZEB認証を取得した。同社が開発したさまざまな省エネ・創エネ技術が効果を発揮。建物由来の二酸化炭素(CO2)排出量で大部分を占める運用段階の設計1次エネルギー消費量に関し、BELS認証で標準建築物の基準値から年間115%削減できると評価された。
昨年9月に着工した同棟の構造と規模はW・RC造4階建て延べ2724平方メートル。同社は資機材などの調達や施工、運用、修繕、解体といった建築物のライフサイクル全体で排出されるCO2について、収支ゼロとなる国内初の「ゼロカーボンビル」を目指している。竣工時期は未定。
同社の試算によると、同棟の運用段階で排出されるCO2排出量は建築物ライフサイクル全体の大部分を占める63%。ゼロカーボンビルを実現するにはまず運用時の1次エネルギー消費量を削減することが不可欠となる。BELS認証の最高評価とZEB認証を取得したのは大きな一歩となりそうだ。
同棟運用段階のCO2排出量削減に向け導入している技術は▽自動環境制御システム「T-Zone Saver」▽ダブルスキン、多目的解析による日射遮蔽(しゃへい)計画を利用した高断熱外装▽ガラス一体型発電システム「T-Green Multi Solar」、汎用(はんよう)太陽光パネルを用いた発電▽「T-LCAシミュレーターCO2」による排出量簡易検証および設計へのフィードバック-など。
今後は同棟をモデルに建築物ライフサイクル全体で、CO2排出量を把握し削減できる技術開発と適切な管理に注力。顧客には段階的なゼロカーボンビルの提案を推進する方針だ。

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