国交省がi-Con2・0発表/40年度まで省人化3割目指す、施工自動化など3本柱

国土交通省は2040年度までに建設現場のオートメーション化(自動化)を実現する目標を掲げ、関連施策を「i-Construction2・0」と呼んで展開する行動計画を発表した。今後さらに深刻化する担い手の減少に対応すべく、省人化対策を前面に打ち出す。計画期間内に達成を目指す最低限の数値目標を、1・5倍の生産性向上とほぼ同等の「省人化3割」と設定。現場施工の自動化に加え、BIM/CIMなどのデータ連携によるデジタル化・ペーパーレス化、施工管理のリモート化・オフサイト化を推進する。=2面に関連記事
斉藤鉄夫国交相が16日の閣議後会見で説明した=写真。三つの柱として▽施工▽データ連携▽施工管理-のそれぞれで自動化に取り組む考えを示し「自動化技術を活用する試行工事の実施や技術開発に向けた産学官の連携も推進する」と表明。省人化対策が現場従事者の安全確保や多様な人材の確保、新3K(給与・休暇・希望)の実現につながると訴え、「これからの建設現場を変えていくため、ぜひ進めていきたい」と意欲を語った。
最低で省人化3割との目標設定には、人口減少局面でのインフラ維持への危機感が背景にある。国の機関による推計では国内の生産年齢人口は40年度までに約2割減少する。多発する災害やインフラ老朽化に対応する必要性は一層増すと考えられ、こうした将来想定から逆算し省人化対策を加速する。従来のi-Conが建設生産プロセスの変革という側面が強かったのに対し、より国民目線でインフラサービスを提供し続けるため不可欠な取り組みとして社会全体に訴えかける。
直轄のICT施工による作業時間の縮減効果は15年度と比べ22年度に約21%向上。25年度までに生産性2割向上を目指すi-Conの目標は一定達成したとみる。ただ省人化を目標に置いた場合、現状進める個々の作業の効率化には限界があり、1人が複数機械を遠隔操作するといった施工の自動化にかじを切る。まずは現場取得データをリアルタイムに活用する形にICT施工を進化させ、中長期的にダムなどの大規模現場で自動施工を実現する。
データ連携の自動化はBIM/CIMで用いる3Dデータの標準化による後工程での活用や、現場データの共有で書類提出そのものを不要とするペーパーレス化を進める。施工管理の自動化は監督・検査のリモート化や、プレキャスト(PCa)部材の活用など現場作業のオフサイト化を想定する。

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