東北整備局が24年度事故防止目標/予定外作業・省略行動を根絶、DX活用で対策加速

東北地方整備局は2024年度の工事事故防止目標を公表した。全治1カ月以上3カ月未満の中傷事故が約半数に上る実態を重く見て、危険要因を踏まえ対策を強化。カメラの設置による現場作業の見える化などDXを積極的に活用し、安全性を高める。「予定外作業や省略行動の排除」など5項目を事故防止重点取り組み方針に設定し、工事事故の撲滅を目指す。
重点取り組み方針には▽「挟まれ」「墜落・転落」事故の危険性がある現場の対策徹底▽「予定外作業」「省略行動」の排除に向けた取り組みの継続▽新規入場者と下請業者の安全教育徹底▽物損公衆災害防止のための事前対策の徹底▽DXを活用した事故対策の取り組み推進-の5項目を掲げた。
中傷以上の事故が発生しているため、施工計画の段階で墜落・転落や建設機械との接触など事故発生の危険要因を抽出し、対策を徹底する。合わせて監視カメラの設置などで「現場の見える化」による監視体制も強化する。工事途中のトラブルに伴い、作業手順書にない予定外作業や準備不足による省略行動をなくすため、現場ごとのルールを設定。注意喚起表示や看板を設置するなど禁止事項の浸透を徹底する。
新規入場から1カ月以内の作業員が事故に遭うケースが4割を占める。このうち入場2週間以内が7割と高い傾向を踏まえ、新規入場者と下請業者への安全教育やKY活動を徹底する。入場間もない作業員の一人作業を回避するよう、安全巡視の強化も求めていく。
架空線切断や埋設物損傷による物損公衆災害も約3割発生。発注者は上空施設や地下埋設物の位置を設計図書に明示するものとし、受注者は高さ制限機能付き建設機械の使用や臨場確認などの徹底を図る。より安全性を高めるため、DXを積極的に導入する。建設機械接近警報システムによる重機接触防止対策やウェブカメラでの監視、VR(仮想現実)技術を活用した安全訓練、IoT機器を活用した熱中症対策など最新の技術や機器を活用する。
同局の事務所や管理所ごとに事故防止の目標と取り組みを定め、安全点検や抜き打ち点検などを実施。受発注者と業界団体が「現場安全点検」を展開し、事故情報の共有でKY活動や安全対策を推進する。
同局管内の23年度事故発生状況(速報値、港湾空港関係除く)は93件。22年度に比べ2件減少した。内訳は労働災害38件(4件減)、物損公衆54件(8件増)、死傷公衆1件(2件減)で、死傷者数は37人(10人減)だった。労働災害は過去10年で最少となった

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