福島県内景気、判断据え置き 日銀福島支店「緩やかに持ち直し」

 日銀福島支店は16日発表した4月分の県金融経済概況で、県内景気の総括判断を3カ月連続で「一部に弱めの動きが見られるものの緩やかに持ち直している」とし、判断を据え置いた。

 項目別では、個人消費を上方修正した。一部自動車メーカーの出荷停止の影響は続くが、暖冬のため春先に売れる園芸品の売り上げが好調。台湾を中心とするインバウンド(訪日客)や国内旅行客が増加したほか、新型コロナウイルスの5類移行に伴い、歓送迎会の予約件数も前年を大きく上回っている。

 鉱工業生産は海外経済の減速などが影響し、医薬品を含む化学工業や業務用機械が大幅に減産となった。先行きについては、世界的にIT需要も回復しているなど押し上げ要因は徐々に強まっていくとみられる。

 深刻な人手不足や物価高を背景に、県内企業の賃上げ率は昨年を大幅に上回っている。福島支店で記者会見した中嶋基晴支店長は「賃上げの意識が急速に高まっている。今後の景気回復の流れが続くかは賃金の動向が極めて重要」との見解を示した。

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