熊本地震で現れた「V字形」断層間近に 益城町・谷川地区、見学道が完成

地表に現れた断層や傾いた納屋などが間近に見学できる谷川地区の見学施設=14日、益城町

 熊本地震で地表に現れた益城町福原の谷川[たにごう]地区にある断層一帯で14日、見学施設が完成した。「V字形」の珍しい断層を間近で見ることができ、地震がもたらすエネルギーの大きさを体感できる。

 布田川断層帯の断層2本(長さ40メートル、同35メートル)が、民家の敷地だった1700平方メートルで交差。断層上にある木造の納屋は大きく傾いた状態で残存し、2018年に国の天然記念物に指定された。

 町は震災遺構として保存活用するため、見学通路や全体を覆う大屋根を整備。断層面は風雨で土砂が崩れないように加工した。事業費は約2億8千万円。

 熊本地震の前震から8年となる同日、現地であった落成式で、西村博則町長が「学術研究や修学旅行で活用してもらい、防災・減災教育の発信拠点にしていく」とあいさつ。近くに整備された展望広場ではコンサートが開かれた。

 町は同様に断層が表出している堂園、杉堂の両地区でも見学道の設置などを進めている。(河北英之)

© 株式会社熊本日日新聞社