「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず【筒香嘉智 DeNA出戻りの波紋】

筒香(C)共同通信社

交渉役の萩原チーム統括本部長は14日に、「彼が戻ってきたときに編成の大きなピースになると信じている」と強調していたが、戦力としての筒香には球界内でも懐疑的な声が少なくない。

20年の渡米後はメジャーに定着できず、マイナー落ちと移籍を繰り返した。メジャー通算は182試合で打率.197、18本塁打、75打点。昨年は一度もメジャーに昇格することなく、一時は米独立リーグに“都落ち”していた。

「23年の公式戦出場はマイナーでの68試合のみ。ジャイアンツとマイナー契約を結んだ今季は招待選手として春季キャンプに参加しましたが、オープン戦5試合で打率.125、本塁打はゼロで自由契約になった。ブランクがあるうえ、日本時代から指摘された課題が解消しきれなかった。米球界移籍1年目の20年は93マイル(約150キロ)以上の速球に対する打率が31打数2安打の.065、翌21年も13打数2安打の.154というデータが示す通り、速いストレートに対応できないという欠陥です。スライダーのような半速球をスタンドに放り込むパワーはあって日本時代は本塁打を量産しましたが、日本でも44発をマークした16年をピークに17年からは28本、38本、29本と数字が下がった。高めの速球と落ちる球で徹底的に攻められた日本最終年の19年は、141三振を記録しています。本塁打と打点の2冠を獲得した16年ですら、球速150キロ以上に対しては打率が1割台だったというデータがあります」(セ・リーグ球団のスコアラー)

日本プロ野球の投手の平均球速は、ここ数年で飛躍的に上がっている。筒香が海を渡る直前の19年、144キロだった直球の平均球速は、昨年のデータでは146キロ超にまで上昇した。特にリリーフ陣は150キロを超える真っすぐを投げるのが当たり前で、巨人のストッパー・大勢は開幕早々に自己最速となる160キロを記録。

昨年、元巨人ヘッドコーチ・岡崎郁氏のYouTubeチャンネルに出演した前DeNA監督のラミレス氏も、「彼(筒香)は150キロ以上の球を打つのが苦手です。筒香のタイミングじゃないんです」と、はっきり口にしている。

「プレースタイルを考えれば、日本にいる方が合っている。パではなくセがいい。そこまで球が速くないので」とも言っていたが、筒香が26年ぶりのリーグ優勝を目指すDeNAの救世主になれるか、懐疑的な声は少なくない。(つづく)

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巨人は既定路線かと思われていた筒香獲得に失敗した。

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