交通安全祈念パン(4月17日)

 「横断歩道パン」。岩瀬農高の食品科学科生が開発した。食パンの上に黒ごまを練り込んだクリームをたっぷりと塗って道路に見立てた。白いクリームを乗せ、横断歩道を模した▼県内でガソリンスタンドを経営する郡山市の企業が呼びかけ、生徒が動いた。校内アンケートを基に横断歩道、信号機、タイヤの3種類のパンづくりに挑戦した。「横断歩道で止まってもらえない」との切実な声もあった。ご当地名物クリームボックスを参考に、程よい甘さと牛乳の風味をより強調した。スタンドなどでの販売に向けて検討が進む▼日本自動車連盟によると、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている時、県内では4割のドライバーが一時停止をしないという。「急にブレーキをかけたら、後続の車に追突されかねない」との声も聞く。普段から速度を抑え、安全運転を心がけていれば、無理なく止まれるはずなのだが…▼ランドセルを背にした黄色い帽子が元気に駆け出す季節。食を通して、悲惨な交通事故を少しでも減らしたい―。高校生のパンに込めた願いをしっかりとかみしめて。不注意に前を横切る車があれば、パンほど甘くはないですよ。社会の目は。<2024.4・17>

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