【女性弁護士】活躍できる環境必要(4月17日)

 県内の女性弁護士の比率は約15%で、全国52弁護士会の中で38番目に低い。市部に偏在しているといった課題もある。離婚や性暴力、セクハラなどの相談に同性の立場から応じる体制整備が求められている。県弁護士会は、学校教育の段階から女性弁護士の育成に注力してほしい。

 県弁護士会に所属する192人のうち、女性は1日現在28人で、全体の14.6%にとどまっている。全国平均の20.1%より5.5ポイント低い。最も割合が高い京都の23.1%とは8.5ポイントの差がある。全国的に首都圏や都市部に偏る傾向が強く、県内は郡山市11人、福島市7人、いわき市6人と3市で全体の86%を占めている。男女共同参画社会基本法が制定されて四半世紀が経過し、医療や福祉など各分野で女性の比率は高まっている。しかし、県弁護士会は追い付いていないと、関係者は受け止めている。

 女性は産前・産後や育児での休暇取得など福利厚生が整っている会社に就職し、企業内弁護士として活動している例が目立つ。正社員として安定した収入を得られる上、充実した保育環境が志望の動機付けになっているという。

 県や市町村には、ドメスティックバイオレンス(DV)や貧困、精神疾患などに悩む女性からの相談が絶えない。法的な手続きが必要な場合、警察や弁護士に対応を要請している。県内の女性弁護士の一人は、同性の弁護士に相談しやすい体制づくりが喫緊の課題だと訴えている。

 県弁護士会は昨年11月、女子中高生向けのシンポジウムを郡山市で初めて開いた。「業務内容を知り、古里のために地方で働きたいという気持ちが強まった」「人を助ける仕事だと知り、弁護士になる未来が広がった」といった声が寄せられ、関係者は弁護士に対する若い世代の関心の高さを感じ取った。

 こうした活動を県内各地で続けるとともに、実際に高校・中学校などに出向く取り組みも求めたい。弁護士の仕事の内容や、女性弁護士の社会的な役割を丁寧に説明し、将来の進路の選択肢に加えてもらえるだけでも意義はある。

 女性弁護士が活躍するには行政や民間の協力も必要になる。育児環境の整備を通して、県弁護士会の取り組みを後押しすべきだ。(渡部純)

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