マンション長寿命化へ管理のガイドラインを見直し

国土交通省は、「マンション標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(第6回)を開催、最終とりまとめを行った。標準管理規約や管理計画認定基準、ガイドラインの見直しの具体的な方向性を示した。2024年度、区分所有法の改正をめざす。

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マンションを巡る建物と居住者の「2つの老い」の進行などに伴う各種課題に対応していくため、「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」は2023年8月、とりまとめを公表。マンションを巡る課題を洗い出した上で、現時点で考えられる政策の方向性をとりまとめ、マンション政策全般に係る大綱として位置づける。この中で、「管理・修繕に関する現状・課題、施策の方向性」に関連して、「区分所有者等の所在が十分に把握できず、総会開催や管理費等の徴収に支障が発生しているため、区分所有者名簿等の更新の仕組みについて検討を行う」、また、「『段階増額積立方式』で大幅な積立金の引上げが必要な場合、予定通り引上げできないおそれがあるため、適切な修繕積立金の引上げ幅等について検討を行う」としていた。

今後の検討方針が明らかになったことを受けて、「マンション標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」を設置。標準管理規約や管理計画認定基準、ガイドラインの見直しなど、施策の具体化に向けた検討を行ってきた。今回、これまでの検討を踏まえた最終案をとりまとめた。

1「高経年マンションの非居住化や所在等不明区分所有者の発生への対応等」、2「マンションの管理情報の見える化の推進」、3「社会情勢やライフスタイルの変化に応じた対応」の3つの柱で、具体的な方策を明記する。1では、組合員の住所等に変更があった場合は管理組合に届け出ることを記載。所有者などが判明しない区分所有者への対応として、管理組合が所在不明者などの探索を行った場合に、その探索に要した費用をその区分所有者に請求できることも明記する。2では、修繕積立金の変更予定等の見える化、管理に関する図書の保管の推進を記載。3では、EV用充電設備の設置の推進、宅配ボックスの設置に係わる決議要件の明確化を記載する。

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また、管理計画認定基準の見直しも行った。国交省の調査では、3分の1以上の管理組合において、大規模修繕工事を行うための原資となる修繕積立金が不足していると回答している。こうした課題を踏まえ、「修繕積立金の安定的な確保」に向け、将来にわたって安定的に修繕積立金を確保する観点から均等積み立て方式が望ましい積み立て方式として、引き続き周知などを行っていくことを記載する。一方で、段階増額積立方式については、築年数の経過に応じて必要な修繕積立金が増加することや区分所有者の高齢化などにより費用負担が困難化していくことを踏まえ、早期に引き上げを完了させることが望ましいとし、「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」を記載。段階増額積立方式における月あたりの徴収金額は、均等積み立て方式とした場合の月あたりの金額を基準とした場合、計画の初期額は基準額の0・6倍以上、計画の最終額は基準額の1・1倍以内とする。2024年4月に最終とりまとめとして同省ホームページで公開する予定。

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