虎党女子、仕事帰りに球場へ 職場でも使える「推し活かばん」 豊岡・専門職大生が地元企業と共同開発 5月発売

「推し」のグッズを持ち運べる「推し活かばん」を企画した芸術文化観光専門職大学の学生たち=豊岡市山王町

 芸術文化観光専門職大学(兵庫県豊岡市山王町)と地元企業などが、プロ野球・阪神タイガースの応援グッズを持ち運べる新商品「推し活かばん」を共同開発した。「仕事帰りに球場へ直行したい」という女性ファンらの思いをくみ、職場に持ち込んでも違和感がないよう、黒を基調とするトートバッグのデザインにした。国内2カ所のタイガースショップで5月1日から販売される。(阿部江利)

 同大は2021年に開学。授業の3分の1が実習に充てられ、3年次には地元企業などで実務体験する「地域イノベーション実習」などが選択必修で課される。

 推し活かばんを企画したのは、かばんメーカーの由利(同市上陰)で、10日間の実習に臨んだ女子学生3人。3人はまず、同社の由利昇三郎社長とともに「(由利は)メンズ商品が多く、若い女性から見た新しい商品企画を」との課題を設定してアイデアを出し合い、特定のアイドルやキャラクターなどを応援する推し活向けのかばんを提案。同社がタイガースグッズを扱うシャープ産業(神戸市東灘区)と取引があったことから、狙いを虎党の女性に絞り、さらに企画を磨き上げた。

 学生らのアイデアは、かばん職人を育成する「トヨオカ・カバン・アルチザン・スクール」が協力して試作品に仕上げ、シャープ産業の久保田憲史社長が球団に打診。ライセンス商品として取り扱えることになり、商品化への道が開けた。

 推し活かばんは、トートバッグとして普段使いできる黒のシックなデザインだが、前面に大きなクリアポケットを備えており、かぶせぶたを出し入れすることで、推し選手のグッズなどを見え隠れできるようにした。汚れや雨に強いナイロン製で、内部の色はタイガースイエローに。裏面に小さくチームのロゴをあしらった。

 新商品の着想が、ひいきのアイドルやキャラクターなどの缶バッジ、キーホルダーをかばんに大量に付けて、推しの対象をアピールする「痛(いた)バッグ」がベースにあることから、由利社長は「かばん会社の社長としても衝撃を受けた」と笑う。

 学生らは「身近に好きな選手がいると思うだけで仕事が頑張れる。ただ、職場などでは推しを知られたくないとの気持ちもあり、隠すことに重点を置いてデザインした」と説明。「多くの人に使ってもらいたい」とPRする。中川千代さん(21)は「企画が実際に商品になり、すごくびっくりしているが、多くの人が関わってくださって実現したことがうれしい」と話す。

 かばんは由利の海外工場で製造。1万5千円で、阪神百貨店(大阪市)と京王百貨店新宿店(東京)にあるタイガースショップで販売する。

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