切れ味スパッと、包丁研ぎ人 職人道...三春の75歳・国分守文さん

「気持ちよく切れる刃物を使ってみてほしい」と話す国分さん

 三春町の国分守文さん(75)は包丁の研ぎ職人として活躍している。名刺に「研ぎ人」との肩書きを入れ「包丁研ぎは奥が深く、まだまだ未熟です」と職人道について語る。

 新品の切れ味

 「切れ味が悪くなった包丁などの刃物の切れ味を新品同様に戻してくれる」と口コミで評判が広がり、年間600本近くの刃物を研いでいる。料理人の仕事用から家庭用包丁まで分け隔てなく受け付けている。「お金をもらえばその金額分の仕事になってしまうから」と料金は受け取らない。

 作業では包丁が何の材質でできているか確認し、材質に合った砥石(といし)で研ぐのが基本だ。和包丁の場合は材質が鋼であることがほとんどだが、ステンレス製だと鉄のほかに別の材質が組み合わさっていたりと刃の付き方など構造を見極める必要がある。研ぎ方が悪いと、包丁の刃が反った状態になってしまうという。その場合は刃先、刃の真ん中、刃元と刃の形に沿って丁寧に整えなければならない。粒度や硬度の違う砥石(といし)に替えながら時間をかけて刃物と向き合い、切れ味を引き出す。「この包丁をどうやったらもう一度スパッときれいに切れるようにできるか考えるのが魅力かな」と笑う。

 40代から研究

 国分さんは40代後半の頃、趣味の山登りで使うナイフを手入れする中で刃物を研ぐ研究をするようになった。包丁の材質に合った砥石の組み合わせなどを独学で学び、三重県の研ぎ師の下でさらに研ぎの技術を磨いた。「一番は刃物を大切にしてもらいたい」と国分さん。手入れを心がけ、刃物を大事に使ってほしいと願っている。(坂本龍之)

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