輪島漆器で生活再建支援 ボランティアで代行販売 能登半島地震受け糸魚川の山田修さん 家族や職人の思いつなぐ

「輪島漆器を見て、使って被災者や能登のことを思い出してほしい」と山田さん。オンライン販売を通じて全国に支援の輪が広がっている(糸魚川市東寺町2)

能登半島地震の被災地で支援ボランティアをしている糸魚川市東寺町2のヒスイ加工販売「ぬなかわヒスイ工房」の山田修さん(60)は、損壊した家屋から掘り出した輪島漆器を販売して被災者の生活再建金に充てる「輪島漆器販売義援金プロジェクト」に取り組んでいる。

山田さんは、個々のスキルを持ち合わせて活動する登録制の一般ボランティアチーム「防災ボランティアネットワーク お手伝いJAPAN」の新潟代表。同地震の発災後、2月中旬から被災地へ入り、住民の給水支援や住宅の家財道具の搬出、片付けなどを手伝う。

がれきに交じって多くの輪島漆器を見つけ、災害関連ごみで処分されるのはしのびないと救い出した。「能登のご先祖たちが子孫のためにとあつらえ、残していった漆器。義援金にかえて子孫の方々の生活費の足しに」と先祖の思いをつなぐことを決心。持ち主の承認を得て販売し、売上金を渡す代行販売をボランティアで行うこととした。

漆器は江戸中期から戦前くらいまでの朱塗りの「家具膳」が多い。冠婚葬祭用に使われる箱入りセットでわん類や朱盆、四つ脚膳など。ほこりや砂を洗い流すと柔らかな光沢がよみがえる。漆器業者のアドバイスを得て適正価格を設定し、撮影した写真と併せてオンラインカタログを作成。同プロジェクトの趣旨を明記し、ネット通販のシステムを整えた。

今月の販売開始以降、全国から注文が寄せられている。ギャラリーや店舗などで展示販売に協力したいという声もあり、支援の輪が広がっている。山田さんは「職人や家族の〝モノガタリ〟がある。購入した漆器を見るたび、使うたびに被災者や能登のことを思い出し、共有していただけたら」と願っている。

購入希望者は「ぬなかわヒスイ工房」をネットで検索。オンラインショップの同プロジェクトカテゴリーから注文する。問い合わせは山田さん(電080・5642・6442)へ。

能登半島地震の被災地では、損壊した家屋のがれきに交じって多くの輪島漆器が見つかっている。子孫へと残してきた先祖の思いがある(山田さん提供)

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