清水建設、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」を導入。点検ソリューションで活用

ELIOS 3は、清水建設の建設現場での安全性を高めるだけでなく、作業効率の向上やコスト削減に大きく寄与しているという。

建設業の2024年問題

建設業界では、2024年4月より労働時間の上限規制が適用され、働き方改革やデジタル化が推進されており、建設現場においてドローンやロボットなどのIoT機器の活用が進んでいる。

これらを用いることで、人が行うのが危険または困難な作業を、安全に、かつ迅速に行うことができる。技術革新によるこれらの取り組みは、建設業界の生産性向上に大きく貢献することが期待されている。

ELIOS 3 導入の背景

清水建設の建設現場では、建物の品質を確保するため、工事終了前に、施工状態に不具合がないかを確認する検査が行われる。また、施工後も建物の維持管理のため、定期的に点検作業が行う必要がある。

検査や点検作業を実施するには危険が伴う場所がある。具体的には、酸素欠乏症の危険を伴う地下ピット内や、足場を使用しないと点検できない高所などが挙げられるという。

このような、危険が伴う場所での点検作業の安全対策のツールとして、清水建設は以前よりドローンに着目し、自社にて専用のドローン開発検討等も行ってきた。

しかし、GNSSやコンパスの入らない屋内の地下ピット内を飛行しようと試みましたが、ドローン点検業務のスキルのあるプロのドローンパイロットでも安定した飛行ができず、ピット内での点検は困難だったという。

こうした中、GNSSやコンパスの入らない屋内でも飛行可能な点検ドローンELIOS 3に出会い、地下ピット内部・施工中の建物内部・トンネルの中など、様々な現場にて導入検証した結果、安全面だけでなく、目視点検と同等レベルの成果と作業日数の削減が可能となり、生産性やコストに寄与すると判断され、正式導入に至ったとしている。

ELIOS 3 導入の評価

清水建設では、これまで酸素欠乏症の危険を伴う地下ピット内作業の具体的な安全対策として、作業前日から1日かけて送風機でピットの空気が入れ替わりやすい環境にしてから、十分に換気を行ったうえで、マンホールの上から酸素濃度計を紐で括り付け測定を行った。

すなわち、人が安全に作業開始できるまでに、多くの労力や機材等のコストを要していたが、ELIOS 3を導入することにより、作業員は地下ピット内に立ち入ることなく、1日かかっていた換気作業をせずに、安全な場所での目視点検が可能となり、作業効率の向上やコスト削減に貢献することを確認した。

地下ピットの入口

さらに、ELIOS 3に搭載しているLiDARにより、屋内でのドローンによる撮影位置の特定が可能になり、地下ピットだけでなく、ホールや劇場の天井など、足場を使わないと点検できなかった高所などの危険な箇所での点検作業や、改修工事前の足場計画にも有効であると評価したという。

付属ソフト「Inspector」による地下ピット内部の解析画像(左:3D点群マップ 右:ELIOS 3飛行画像)

清水建設株式会社 生産技術本部生産技術開発センター デジタルマネジメントグループの村松 慶紀氏は次のようにコメントする。

講習を受講した人なら誰でも安定して飛行可能なことが確認できたことが、ELIOS 3 購入の決め手です。また、専用の保険や故障時のサポートなどがパッケージとなったサービス(BIケア for ELIOS 3)があるのも導入決定の後押しになりました。 今回購入させていただき、更に弊社内で検証を進め、ドローン運用する社内のチーム体制を整える予定です。 ブルーイノベーション様には、トラブル時等の迅速なご対応や最新情報のご提供、また新しい点検ソリューション取り組みへの挑戦にご協力頂きたく存じます。

狭い地下ピット内に入れることが可能

▶︎ブルーイノベーション

© 株式会社プロニュース