期待の16歳アンドレーワ、新コーチは元2位のマルチネスか? 今週の大会にテスト帯同し「今のところとても順調」<SMASH>

昨年、WTAの年間最優秀新人賞に輝いた16歳のホープ、ミラ・アンドレーワ(ロシア/世界ランク43位)が新たなコーチ候補を伴って、現在開催中の「オープン・キャップファイナンス・ルーアン・メトロポール」(4月15~21日/フランス・ルーアン/室内クレー)に出場している。手首のケガのため「マイアミ・オープン」の出場を辞退して以来の戦列復帰だ。

アンドレーワをサポートしているのは、1994年のウインブルドン優勝者で元世界2位のコンチータ・マルチネス(スペイン)だ。2006年に引退した後、元世界1位のカロリーナ・プリスコワ(チェコ/現47位)やガルビネ・ムグルサ(スペイン)らを指導してきた敏腕コーチである。

トライアルとして2~3週間前からマルチネスと練習してきたというアンドレーワは、今大会のシングルス1回戦でナディア・ポドロスカ(アルゼンチン/65位)に勝利すると、52歳の新コーチ候補についてこう感想を述べた。

「今のところ、とても順調です。私は気に入っているし、彼女もそうだとうれしいです。どうなるか様子を見てから、次の大会について決めたいと思っています。

何か特別に取り組んでいることがあるとは言えないですが、最初に着手したのはスライスです。彼女はスライスが得意だったから。教えてもらったコツを余裕がある時に使ってみようと心掛けています」
23年、293位でシーズンをスタートさせたアンドレーワは、グランドスラム初出場となった「全仏オープン」で予選から3回戦へ進出。「ウインブルドン」では同じく予選からベスト16入りする快進撃を見せ、10月にトップ50を突破した。前述の通り、年末にはWTAの年間最優秀新人賞に輝いている。

今年に入ってからもセンセーションは続いた。「ブリスベン国際」ではWTAツアーで初の準々決勝進出を果たすと、初出場の「全豪オープン」で4回戦に進出。2回戦では世界6位だったオンス・ジャバー(チュニジア/現9位)を6-0、6-2で倒したが、これはグランドスラムでトップ10シードにベーグルを与えた最年少記録だった。今のところキャリアハイは2月12日付の33位だ。

この躍進を支えていたのは、フランス・カンヌにあるエリートテニスセンター。07年にロシアのクラスノヤルスクで生まれ、ソチ、モスクワを経てカンヌに移ったアンドレーワは、3歳上の姉エレナと共に同アカデミーの門を叩いた。かつてダニール・メドベージェフ(ロシア/4位)も拠点とした機関で、創設者の1人、ジャン・ルネ・リスナール(モナコ/元84位)らの指導を受け、あっという間にトップ選手に駆け上がったのだ。

だが、22年のツアーデビュー以降アンドレーワの成長はあまりにも急激だった。彼女を支えるチーム体制には調整が必要だったのだろう。今年の全豪オープンではロシア人コーチのキリル・クリュコフの帯同を明かしていたが、マルチネスとの新タッグは果たしてどうなるだろうか。16歳の動向から目が離せない。

構成●スマッシュ編集部

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