日立の山肌彩る淡い白と新緑 オオシマザクラ見頃 茨城

煙道の奥に咲き誇るオオシマザクラと大煙突=日立市宮田町

茨城県日立市内の山間部で、オオシマザクラが見頃を迎えている。煙害で荒廃した山々を回復させるために大正から昭和にかけて多く植えられた品種で、山肌は淡い白色と新緑のコントラストで彩られている。

市内ではかつて、旧日立鉱山から出る煙で農作物や山林への被害が深刻化。対策として1914年に「大煙突」が建設され、荒れ果てた山には約500万本の植林が行われた。うち半数が煙害に強いオオシマザクラだったとされ、現在も春になると市内の山中に咲き誇る。

同市宮田町のJX金属大雄院事務所前からは、標高約300メートルに立つ大煙突の下で満開となったオオシマザクラの景色が楽しめ、車を止めて写真を撮る市民の姿が見られる。同社日立事業所の船木直登さんは「春の訪れに癒やされるとともに、煙害に向き合った先人の思いを感じる」と話す。

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