心の悩みに寄り添い1年 鹿沼の「ステップ家族相談室」 社会的支援も一体的に

オープン1年を迎えた「とちぎステップ家族相談室」の室内に立つ渡辺さん

 【鹿沼】心の問題などを抱える人たちを支援する民間の相談室「とちぎステップ家族相談室」が、昨年4月に上野町にオープンして、丸1年を迎えた。カウンセラーで社会福祉士の渡辺厚司(わたなべあつし)さん(61)が、カウンセリングと伴走型ソーシャルサポートに一体的に取り組んでおり、県内では珍しい。1周年を記念して、無料の市民公開講座を21日、宇都宮市若草1丁目のとちぎ福祉プラザで開く。

 同相談室は、有料で完全予約制。受け付ける相談は、ひきこもりや不登校、依存症、親子や家族、人間関係の悩み、ヤングケアラーの問題など幅広い。医療機関や福祉施設、行政機関への同行支援など必要な社会的支援までを、相談者に寄り添い実施するのが特長だ。毎月、延べ40人ほどが利用するという。

 渡辺さんは、県立岡本台病院に作業療法士として勤務したのを振り出しに、都内の医療機関などを経て、マロニエ医療福祉専門学校に勤務した。35年余の臨床経験を持ち、現在も県精神保健福祉センターなどで非常勤で臨床に当たる。

 「生きづらさを抱える人たちをサポートできる場の一つになれたらいい」と渡辺さん。定年を待たずに同校を退職し、古民家を改装した木造平屋を借りて、同相談室をオープンした。臨床経験の中で培ったネットワークも生かしている。

 同講座は、相談室に来ることが難しい人に発信する狙いもあり、8、9月にも予定している。今回は「親子関係を考える」がテーマ。渡辺さんは「独りで悩まず、ぜひ参加してほしい」と呼びかけている。

 午後1時半~3時半。定員30人。事前申し込みが必要。同相談室ホームページ問い合わせフォームからも受け付ける。

 (問)同相談室090.7243.2484。

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