県内小学校通学路、安全対策完了は86% 23年末、危険箇所は残り179 用地取得に時間、看板設置で暫定措置

防護柵を設置した通学路=壬生町幸町

 県内小学校の通学路で交通安全対策が必要とされた箇所の86.4%で対策が完了したことが16日までに、文部科学省などのまとめで分かった。2023年12月末時点で、抜本的な対策が講じられていない危険箇所は県内で残り179カ所。ただ完了した割合は全国平均(91.2%)を下回っており、県によると、対策のための用地取得に時間を要することなどが背景にあるという。県などは、注意を促す看板の設置など暫定措置を取りながら、安全確保を進めている。

 千葉県八街市で21年6月、下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、5人が死傷した事故を受けて全国で緊急点検が行われ、通学路の危険箇所を抽出。本県は対策必要箇所が1321カ所に上り、道路管理者(国、県、市町)、教育委員会・学校、県警が安全対策を実施している。

 文科省などによると、23年12月末時点で、全国では対策必要箇所7万2568カ所のうち、91.2%に当たる6万6203カ所で対策を終えた。本県は1142カ所で完了し、割合は86.4%。

 これまで県や市町による歩道整備や防護柵の設置、各教育委員会などによる通学路の変更、県警による横断歩道の設置などで抜本的な対策が講じられてきた。しかし県内には、抜け道として利用され車のスピードが速かったり、歩道が狭かったりする通学路が依然として残っている。

 県道路整備課は「歩道整備に必要な用地取得や予算組みなどに時間がかかり、一気に進めるのは容易ではない」と説明。「ポストコーンの設置など暫定措置を行いながら、早急に対応したい」としている。

 県教委によると、各市町教委などが担う安全対策は大半で終了しているという。県警は既に、全ての箇所で対策を完了しているとした。

対策前の通学路=壬生町幸町

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