カナダ3月CPIやや加速、コア指数連続鈍化で6月利下げ観測強まる

Ismail Shakil

[オタワ 16日 ロイター] - カナダ統計局が16日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%上昇した。伸び率は前月から加速し、市場予想と一致した。原油の供給懸念と産油国の自主的な減産で世界的に原油価格が上がり、ガソリンも値上がりしたことが要因。

一方、カナダ銀行(中央銀行)が基調的な物価動向として重視するCPI中央値とCPIトリム(調整済み指数)はそれぞれ2.8%上昇、3.1%上昇となり、3カ月連続で伸びが鈍化した。

これを受け、短期金融市場で6月の利下げ観測が強まり、確率は以前の44%から約55%に上がった。外国為替市場のカナダドル相場は対米ドルで5カ月ぶりの安値に下落した。

総合インフレ率は1月以降、3%未満で推移しており、今年前半もこの水準付近での推移を見込むカナダ中銀の予想と一致している。

マックレム総裁はワシントンで講演し、「総合インフレ率は予想通り3%近い水準となったものの、重要なのはコアインフレ率(の伸び)の再低下で、基調的なインフレ圧力が引き続き鈍化していることがうかがえる」と述べた。カナダ経済が「正しい方向」に向かって推移しているとの見解を表明した。

カナダ大手銀行のロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のアシスタント・チーフ・エコノミスト、ネイサン・ジャンゼン氏は「中銀が重視する物価指標は、ここ数カ月の米国で見られたようなインフレ再加速がカナダでは見られないことを裏付けている」と述べた。

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