英政府、「性的ディープフェイク画像の作成」を犯罪に イングランドとウェールズで

イギリス政府は15日、イングランドとウェールズで、性的に露骨な「ディープフェイク」画像の作成を犯罪として定める方針を明らかにした。

法改正により、本人の同意なしに性的に露骨な画像を作成した者は刑事責任を問われ、無制限の罰金が科せられるようにする。

作成者に画像を共有する意図があったかどうかに関係なく適用されると、英法務省は説明した。

画像が広範に共有された場合は収監される可能性がある。

ディープフェイクとは、ある人物の顔を別人の顔に置き換えるなど、人工知能(AI)を使ってデジタル加工された画像や映像のこと。

近年ではこの技術の利用が拡大し、有名人や公人(その多くは女性)の顔がポルノ映像に合成されている。

広める意図なくても適用

昨年にイギリスで制定されたオンライン安全法により、ディープフェイクを共有する行為自体は違法となっている。

一方、刑事司法法の改正案では、性的に露骨なディープフェイクを作成する行為も犯罪となる。作成者側に画像を共有する意図がなくとも、「単純に被害者を不安にさせたり、屈辱や苦痛を与えようとしている」のだと、法務省は指摘する。

同省はまた、児童の画像の作成については現行法が適用されるため、改正案では成人の画像が対象になるとしている。

こうした内容は、現在国会で審議中の刑事司法法の改正案として導入される。ローラ・ファリス被害者保護担当相は、「このような素材の制作は不道徳で、しばしば女性蔑視的であり、犯罪行為であるという、明確なメッセージ」を発信するものだと述べた。

「性的なディープフェイク画像の作成は、その画像が共有されるか否かにかかわらず、卑劣な行為であり、全く容認できない」

「これは特定の人々が他者を、特に女性たちをおとしめ、非人間的に扱う方法の一例だ」

「そして、こうした素材がより広範に共有されれば、悲惨な結果を引き起こす可能性がある。我が政府はそれを許さない」

女性のプライバシーや尊厳を侵害

今年初めにディープフェイク画像の被害に遭った、英リアリティー番組「ラブ・アイランド」の元出演者キャリー・ジェーン・ビーチ氏は、「女性により優れた保護を与えるために、ディープフェイクに関連する法律をさらに強化する大きな一歩」だと述べた。

「私が耐えたものは、恥ずかしさや迷惑を超えるものだった」

「あまりにも多くの女性が、悪意のある人物によってこのような方法でプライバシーや尊厳、アイデンティティーを侵害され続けている。これを止めなければならない。このようなことをする人たちは責任を負う必要がある」

イヴェット・クーパー影の内相は、ディープフェイク画像の作成は個人の自律性とプライバシーの「重大な侵害」であり、「容認されてはならない」とした。

「テクノロジーはますます、女性蔑視的なコンテンツを作り出すために扱われるようになっている。女性と少女に対する暴力の加害者を大胆にさせている」

「だからこそ、政府はこうした目まぐるしく変化する脅威を先取りし、それに追い越されないようにすることが重要だ」

「加害者が責任を問われることなく行動するのを阻止するため、警察と検察がこれらの法律を厳格に執行するのに必要な訓練と手段を備えることが不可欠だ」

(英語記事 Creating sexually explicit deepfakes to become a criminal offence

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