THE SUPER FRUIT、『青い果実』携え駆け抜けた初5大都市ツアー 韓国進出、TDCホールワンマン…新たな挑戦へ

今年3月より約1カ月に渡って開催された、THE SUPER FRUITにとって初の5大都市ツアー『THE SUPER FRUIT 2nd ONEMAN TOUR - Blue Fruits Tour2024 -』。1stアルバム『青い果実』を携えて駆け抜けた本ツアーの最終公演が、4月13日に昭和女子大学人見記念講堂(東京)にて開催された。

サプライズ満載となったこの日、スパフルはオープニングから嬉しい驚きを届けてくれた。カラフルな光が彩る客席に華やかなSEが舞い込む頃、突如、1階席の後方から登場したのである。フルファミ(ファン)の大歓声を浴びながら客席を駆け抜けたメンバーたちは、ステージ上で「It's showtime!!」と声を合わせて、豪華なステージセットをお披露目。アメリカの学園ミュージカルを連想させる衣装とセットが彼らのポップネスを際立たせる中、春にピッタリの「サクラフレフレ」がライブの幕開けを告げた。小田惟真・田倉暉久・松本勇輝がボーカルを務めたエールソングに続き、田倉が振付を担当したアッパーな「ポップコーンフィーバー」では、松本から堀内結流へマイクが渡る。その勢いに乗って星野晴海がリードした「学園天国」もまた、メンバーの全力ダンスに呼応するように歓声が大きくなっていった。

プチリニューアルしたという自己紹介で盛り上げ、身長をいじられがちな堀内を主役とした小芝居(つば男の先輩であり、先日解散したCUBERSの優が脚本を担当)でややスベッた後、7人はフルファミに見送られて賑やかに「SCH。。L!」へ。だが次の瞬間、最年長の阿部隼大にスポットライトが当たり、「叫べない僕らの」を歌い始めると、ステージはイメージを一新。大人びた歌声や緩急のついたテクニカルなダンスの奥に、熟し始めた果実たちが顔をのぞかせる。それはDance Sectionで確信に変わり、堀内のソロダンスに鈴木志音が加わるなど、次々にフォーメーションを変えながら踊る7人を、いつしか真っ赤なライトが過激に照らしていた。アグレッシブな裏デビュー曲「馬鹿ばっか」から一転、ドラマティックなピアノが導いたのは「愛の仕組み」。「Juicy Smile」もスタンドマイクを用いたパフォーマンスで、よりエンターテインメント性の高い仕上がりとなっていた。

とはいえ、星野が甘酸っぱいキメ台詞でフルファミのハートを狙い撃ちする光景は、もはやスパフルのライブのお馴染みと言えるだろう。MCを挟んだ後に披露された楽曲たちも沼落ち必至のパートが盛りだくさんで、「君はリアコ製造機」では田倉が「会場全員、俺が幸せにしてるよ!」、「サマー☆★げっちゅー」では堀内が「愛してる!」とシャウト。イリュージョンさながらの変身を見せた“ギャル松本”を筆頭に、7匹の猫がじゃれ合う様が微笑ましい「I My Me Meow」や、大ヒット曲「チグハグ」と共に客席を駆け回る演出も、フルファミを夢中にさせていた。すっかり熱気を帯びた場内に、阿部の「僕はみんなと……ここにいる全員とアリーナに行きたいです!」という切実なメッセージが響き渡ると、ミディアムナンバー「ボクらの夜明け」を熱唱。ラストは〈まだまだ僕は 青い果実〉と綴ったアルバムリード曲「青い果実」を全員で歌い繋ぎ、子供と大人の狭間で揺らめくスパフルの現在地を示した。

アンコールは鈴木・田倉・小田がボーカルを務める「素敵なMy Life」からスタート。ステージに現れた3人は、それぞれ自分らしくリメイクしたツアーTシャツを着ており、ひと際元気な鈴木が「みんなー! 今日楽しい人、手挙げて!」と呼びかけると、客席でも色とりどりのペンライトが揺れた。さらにアンコールでは、サプライズとして2階席にもメンバーが登場。奇跡的に出会えた一人ひとりとハイタッチを交わし、「パノラマ」と「Seven Fruits」で締め括った。

……かのように見えたが、ここでお待ちかねの告知タイムへ。5月22日に新曲「らりるサプライズ!」を配信することや、6月に東名阪でリリースイベントを行うことなどを発表した7人は、サプライズでキャッチーなダンスチューン「らりるサプライズ!」を初披露した。初見と思えないほどの盛り上がり具合に、仕掛け人として満足そうな笑みを浮かべるメンバーたち。そんな彼らもまだ知らされていなかった告知が実は待ち構えており、新曲「らりるサプライズ!」をテーマソングにした企画“THE SUPER FRUIT『春夏秋冬サプライズYEAR! 2024-2025』”を実施することや、韓国でのプロモーションライブが決定したこと、11月3日にグループ史上最大規模でのワンマンライブ『THE SUPER FRUIT WORLD 2024 in TOKYO DOME CITY HALL』を行うことなどが続々と明らかとなった。

メンバーが口々に想いを語る中、直前まで笑顔を輝かせていた星野は、この日もMC中に“フルファミ同士が仲良くなるコーナー”を設けていたように、ワンマンを成功させるためにはフルファミの協力が欠かせないと、複雑な胸の内を語る。それでも、田倉が「4月13日、今日この日までがTHE SUPER FRUITの物語の第1章だと思ってます。明日からはがむしゃらに駆け上っていくだけだと思います。最後まで僕らを信じて、ついてきてください!」と熱く宣言すると、大きな拍手が。感極まって言葉をつまらせた小田には、客席から「頑張れ!」の声が届く。その相思相愛がなんとも頼もしく、きっと、第2章も素敵な景色が更新されていくんだろうなと、自然と感じたツアーファイナルだった。

(文=斉藤碧)

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